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専門医インタビュー

膝痛改善のポイントは体重管理と筋力強化。保存的治療で十分な効果が得られなくなったら、人工膝関節も!

この記事の専門医

  • 山本 精三 先生
  • 虎の門病院 院長補佐 整形外科特任部長
  • 03-3588-1111

東京都

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東京大学医学部卒業。同大附属病院整形外科医局長、東京都老人医療センター整形外科部長などを経て、2008年現職。
日本整形外科学会専門医・認定脊椎脊髄医・認定リウマチ医

この記事の目次

手術後の様子は?

手術後は、翌日に立ちあがりの練習、2日目から歩く練習を始め、リハビリを続けて2週間くらいで退院するのが普通です。階段の昇降ができるようになるのが、退院の目安になります。退院後も継続して、大腿四頭筋、体幹筋の訓練をしてもらいます。これが、人工膝関節置換術を成功させるポイントです。寝ているだけでは筋肉はつきませんし、体重が重くなるとますます筋肉が衰えてしまいます。実際に、退院後に自分で、一生懸命体操や運動を続けている人は、目に見えて回復し、満足のいく結果を得られています。
もうひとつ大事なのは、退院してからも定期的に受診することです。もし人工膝関節の摩耗が起こっていても、なかなか痛みは感じませんから。人工膝関節の周辺に腫れや炎症はないか、緩みが生じていないか、それらを早く見つけるためにも、半年に1度、あるいは年に1度は専門医の目でフォローしていく必要があります。

人工関節置換後の歩行の様子(クリックすると動画が再生されます)

術前

人工膝関節置換後(右脚)

人工股関節置換後(左脚)

手術後の努力も必要なのですね

努力すれば健康な脚(写真左側)と同じくらい曲がるようになります

その通りです。人工膝関節にしてしまえば、それでもう全てがOKというわけではありません。体重が増えないように、筋力を衰えさせないように、手術後も継続して努力を続けることが大事です。
筋力や、体のバランスが失われると、転倒してしまう危険があります。その予防のためのロコモチェックとロコトレも必要です。
せっかく人工膝関節にして、綺麗に歩けるようになったのです。転んで骨折…なんてことのないようにしなければなりません。片足立ちやスクワット、椅子に腰かけて片足ずつ上げるなどの大腿四頭筋トレーニングを続けて下さい。

※ロコモティブシンドローム:骨や関節、筋肉、動きの信号を伝える神経などが衰えて、立つ、歩くなどの動作が困難になり、要介護や寝たきりになってしまうこと。またはその可能性が高い状態のこと
※ロコモチェック:ロコモティブシンドロームを見つける簡単な目安
※ロコトレ:体を動かして転倒を予防するためのトレーニング法

ロコモについて、こちらをご覧ください。

患者さんにメッセージをお願いします。

当院は透析センターも併設しているし、総合的な専門診療科もあるので、高齢でペースメーカーを入れている人や人工透析を受けている人、COPD(慢性閉塞性肺疾患)の人など、いろいろな合併症を持っている方に人工関節置換術を行うことが多いです。人工関節置換術を専門に行う単科病院に比べると、難しい手術になることもありますが、それでも手術後は、満足な顔で外来に通って来られる患者さんばかりです。
実際に、思い切って人工膝関節置換術を行い、毎日30分、散歩をすることができるようになったと、手術して本当によかったと喜んでおられる90歳の患者さんもいます。その人は家の中で毎日、大腿四頭筋トレーニングを続けているそうです。また、海外旅行先から絵葉書を送ってくれる患者さんもいます。手術を施した医師としては、そういう患者さんの報告を聞くのが一番嬉しい時です。
膝の痛みや歩きづらさを我慢しないでください。外に出るのをあきらめて、自分で自分の生活を狭めてしまわないでください。孫と一緒に旅行に行きたい、友達と買い物にも行きたいなど、やりたいことや人生の目標を見つけましょう。変形性膝関節症は、すぐに手術をしなくてはいけない疾患ではありませんが、早めに整形外科専門医に相談して下さい。


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