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専門医インタビュー

角谷 真 先生|目指しているのは痛くない、出血しない、回復も早い手術方法

東京都

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東京医科大学卒業。日本整形外科学会専門医、英 OXFORD 人工膝関節片側置換術マスター

この記事の目次

高齢社会の今、元気に活動するお年寄りが増えている一方で、膝の痛みを抱えて困っている人も多いのが現状。「人工膝関節置換術を受けるかどうかの基準は、年齢ではありません。高齢だからあきらめようとか、まだ若いからもうしばらく待ったほうがいいのではないか、ということは全くないのです。本人に歩きたい、歩きたいという意欲があるかどうかが大きな目安です。人工膝関節置換術は、歩きたい人のためのもの」…と話す角谷真先生にうかがいました。

膝にかかる負荷は体重の7~8倍

股関節唇損傷

変形性ひざ関節症の病態(レントゲン像)

膝の痛みを訴えるほとんどの人が、変形性膝関節症による痛みだと思います。この疾患は、軟骨がすり減りやすい遺伝的な体質を持っている人が、加齢に伴って発症するのではないかといわれています。もう一つ大きな誘因が肥満です。階段の昇降時には、膝に体重の7~8倍の重さがかかりますから、適正な体重を保つことは膝を守るためにも非常に大事です。
日本人の暮らす環境の中にも、膝を傷める誘因が潜んでいます。例えば、都会には階段がとても多いので、若いころから、通勤通学で駅の階段を何度も上り下りする生活を続けていると、膝に過剰な負担がかかってしまいます。坂道のてっぺんの高台に住んでいる人たちの膝は、知らないうちに酷使されているともいえます。また、農村地帯の人たちが、長い時間しゃがんで農作業をしたり、重いものを持つ機会が多いのも、膝を悪くしてしまう原因の一つと思われます。

変形性膝関節症?画像と診察で正しく診断

腰部脊柱管狭窄症のレントゲン

何となく膝がうずいたり音が鳴ったりして、なんだかおかしいと気づいても、そのくらいで受診する人はまずいないのではないでしょうか。多少痛くても、市販のサプリメントを飲んでみたり、湿布を貼って我慢している、これが現状でしょう。そして、いよいよ痛みが強く我慢できなくなり、動きに制限が出てから病院を訪れる人がほとんどだと思います。
私たち専門医は、その痛みの原因が、本当に膝にあるのかどうかを調べます。膝が痛いイコール膝が悪いとは限らないからです。例えば、変形性膝関節症といわれてヒアルロン酸の注射を打ち続けてきたけれど、一向に良くならないので、私のところにみえた患者さん、歩き方も変なので股関節の写真を取ってみると、股関節が悪いことが分かりました。股関節の手術をして、膝の痛みが取れました。膝の痛みの原因が腰部脊柱管狭窄症だった人もいます。骨粗しょう症で膝を骨折していた人もいます。痛みを感じたら、まずは専門医にその痛みの原因を調べてもらうことはとても大切です。

変形性膝関節症の治療法は?

まずていねいに診察して、膝関節周囲の凝りはないかを確認します。肩凝りと同じで、膝周りを軽くマッサージして動かしてみるだけで痛みが取れることもあります。

振り子運動

変形性膝関節症の治療の第一歩は保存療法とリハビリです。膝を守るために大腿四頭筋を鍛えましょうとよくいわれるでしょうが、実際にこの筋肉を鍛えるための正しい体操を、毎日毎日行うのは難しいかもしれません。効果があると分かっている治療であっても現実に継続できなければ意味がないのです。私がお年寄りに勧めているのは、いすに腰掛けたままで膝から下をブランブランとブランコのように降る、振り子運動です。膝の中のヒアルロン酸を増やすのに効果があるといわれています。

ヒアルロン酸の注射

痛くない程度にゆっくり動かすことを意識して続けていくだけでだいぶ違います。患部に直接ヒアルロン酸の注射を打つ治療法も、痛みを和らげる効果はあると思います。


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