専門医インタビュー
洋式のトイレや階段の手すりで普通の生活
退院後は週に1回、リハビリに通ってもらい、1か月目に検診。遠くから来ている人でも、自宅近くのリハビリ所に紹介状を書きますから、入院していた時のようにリハビリをしてもらいます。
まだ少し腫れてれば、冷やしたりマッサージをしたり、150日間くらいは意識してリハビリを続けてください。家に戻ってからも、出来るだけ普通の日常生活を送ってください。
ただし、転ばないようにして下さい。人工膝関節になっても、正座はできないと思ったほうがいいですね。膝は、120度くらいは曲げることができますが、和式のトイレは止めて、出来れば畳に布団でなくベッドにするなど、洋式の生活を勧めています。普通の生活なら、たいていのことは何をしても大丈夫。車の運転もできます。
人工膝関節置換術の合併症として挙げられるのが、緩みです。歳を取るにつれて骨がもろくなるのは珍しいことではないでしょう。そのためにしっかり入れたはずの人工膝関節が、稀ですが、緩んでしまうこともあるでしょう。そうなると人工関節を入れ替えなくてはならなくなります。
緩みが生じてしまう前に、膝が腫れていないか、少しでもぐらぐらしていないか、定期的にメンテナンスを受けることが必要なのです。手術をして2年後からは半年ごと、5年後からは1年に一回の受診、チェックを忘れないようにして下さい。
人工膝関節は、手術すればお終いというわけにはいきません。その後もずっと、一生うまく使っているかどうか、人工膝関節が機能しているかどうかを確認して、フォローしていくのが、手術を担当した整形外科医の役目です。動きが鈍い、違和感や痛みなどが出たら、定期検診を待たずにすぐに受診して下さい。
膝の痛みが気になったら、関節がどんな状態にあるか、痛みの原因は何か、レントゲンで確かめてもらってください。
長い間保存療法を続けているのに、痛みが強くて動きづらいときには、我々のような施設で一度診てもらうことを勧めます。私たちは必ず手術を勧めることはしません。
まだ手術しなくても大丈夫、保存療法でいけるとか、これはもう限界、早めに人工膝関節置換術を受けたほうがいいのではないかなどの判断は、私たちのように人工膝関節置換術をたくさん経験している医師がよくわかります。
患者さんに尋ねることは、「今までどういう治療を、どのくらいの期間行ってきましたか」です。例えば、電気治療ばかり続けていた、というなら今度は「注射にしましょう」「足底板を作りましょうか」などというアドバイスもできます。
さんざん保存療法をやったけれどやはり痛くて、活動の範囲がぐんと狭まっている人に、「手術という手もありますよ」と伝えると、「えっ、治るんですか」と言われます。
そうです、治る可能性があるのです。手術が万能とは言いませんが、手術をすることによって人生が変わる人もたくさんいます。一緒に考えていきましょう。
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