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専門医インタビュー

手術の前も、後も、大事なリハビリの習慣健康寿命を延ばすポイントは自分の足で歩けること

この記事の専門医

花岡 義文 先生

大阪府

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奈良県立医科大学卒業後、同大に入局。関連病院研修後、平成22年、大阪府済生会富田林病院、平成24年、富永病院大西哲靖記念人工関節研究センター勤務。平成28年、大阪府済生会富田林病院人工関節センター開設時に同院に

この記事の目次

関心が高くなってきた人工膝関節置換術

花岡 義文 先生

当院には、クリニックで保存療法を行ってきたけれど、いよいよ人工膝関節の手術をするしか方法がない、ということで紹介されてくる人が多いです。ここで改めて、手術の有効性をお話しして背中を押してあげることになります。手術は決してリスクが無いわけではありませんが、人工膝関節にすることで楽しく豊かな日常生活を目指せます。なによりも、痛みが軽くなりスムーズに動くことができるようになるのです。
人工膝関節置換術に関しては、私も、年に何度か市民公開講座などでお話をしている際に感じるのは、膝の痛みを抱えている人たちにとって人工関節の手術に関心が高いのは間違いありません。

もっと動きたい、自分の足で歩きたい人を応援

人工膝関節置換術

人工膝関節置換術

人工膝関節とは、傷んで変形した関節を人工のインプラントに変えることで関節の機能を取り戻す方法です。痛みなく歩きやすくなるようにする手術です。
患者さんの骨の大きさに合わせたインプラントを選んで挿入、軟骨に当たる部分にはポリエチレンの人工のものが入ります。昔は、手術をするとかえって歩けなくなると、言われる患者さんもおられましたが、最近の人工関節は性能も良くなり、理論上は40年以上の耐用も期待できると考えています。今は、情報がたくさん流れていますので、私たちの説明に納得して手術を受ける患者さんが増えてきました。
ただ、すでに歩けなくて車いす状態の人が人工膝関節にしたからといって、すいすい歩けるようになるわけではありません。痛みはなくなったけれど、思ったほど歩行機能が得られないということになります。人工膝関節置換術は、まだ歩ける筋力が残っていて、さらに、痛みが軽くなればもっと動きたいと願う人が対象になります。手術のタイミングが重要です。迷われている方には、可能な範囲で早めの手術を勧めています。
変形性膝関節症のために自力で歩けない状態は、健康寿命を妨げます。寿命の手前まで、できれば自分自身の足で歩けることを、だれもが望んでいるでしょうから、そのためにも手術を提案したいと思います。

手術の前に十分な検査

手術前に血液検査、心電図検査、心エコー検査など、十分な検査をおこなっております。狭心症や糖尿病などの持病がある人でも、当院には各内科の専門医がいますから協力してもらいながら、健康状態が安定している時に手術を行います。実際に90歳の人でも人工膝関節置換術を行っております。
手術前に行うことにもう一つ、自己血の採血があります。これは、もし輸血が必要になった場合のための貯血ですが、人工膝関節置換術においては輸血のリスクはほぼありません。

手術の様子を教えてください。

人工膝関節置換術後のレントゲン

人工膝関節置換術後のレントゲン

手術にかかる時間は、1時間半前後です。最近は、両膝同時に行う手術も増えています。
例えば両足共に変形が強い人なら、2回に分けずに両膝同時に手術をすることもあります。このほうが患者さんの負担も軽くてすみます。手術の際にこだわっているのは、不安定な膝にならないように人工膝関節を正確な位置に挿入することです。
その人にとって一番いい位置に挿入するように工夫しており、これは医師の技術にかかっているともいえます。
人工膝関節の緩みは、主にポリエチレンが摩擦することによって生じます。そこで、人工関節と骨の境界をしっかり固定させるために、骨伝導の能力を持っているハイドロキシンアパタイトを使ったセメント(接着剤代り)での固定法を用いています(界面バイオアクティブ骨セメント法)。比較的若くて活動性が高く、ポリエチレンの摩耗が生じて緩みが生じやすい人に対して行う、長期対応を目指した方法です。
もう一つの工夫が、疼痛対策です。人工膝関節置換術は痛みをブロックする腰痛麻酔をメインに、全身麻酔併用で行います。加えて、手術後の痛みに対しては、カクテル注射などで疼痛管理を行っています。


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