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専門医インタビュー

一度きりの人生だから人工関節置換術で楽しく、思い通りに過ごしてほしい

この記事の専門医

望月 義人 先生

東京都

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慶應義塾大学医学部卒
職歴:2005年 旭中央病院臨床研修医、2007年 旭中央病院整形外科 整形外科、2008年 東京歯科大学市川総合病院 整形外科、2010年 武蔵野赤十字病院 整形外科、2012年 産業医科大学若松病院 専修医、2012年 産業医科大学若松病院 助教、2013年 武蔵野赤十字病院、2020年より現職。
所属学会:日本整形外科学会 、日本股関節学会、日本人工関節学会 、東日本整形災害外科学会

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この記事の目次

手術を考えるきっかけはいつ頃でしょうか?

運動などの保存療法を、いつまで続けたらいいのでしょうかとよく質問されます。具体的な期間よりも、例えば痛みが強くなると、外出を控えることが多くなるのではないでしょうか。具体的に言えば、友達に買い物やランチに誘われたけれど「断った」、旅行に行きたいけれど「やめた」など、股・膝関節の痛みのために我慢したり、あきらめたりすることがあるかもしれません。このような状態になってきたら、手術を考えるタイミングかもしれません。
外出しなくたったりして運動量が低下すると、骨が薄く弱くなり筋力量も減ったり、さらには心肺機能など関節以外の部分が悪化するという報告もあります。やりたいことを我慢したりあきらめないためにも、自分の脚で歩けるということはとても大切だと思います。
もう一つの目安が、自分の太ももを触ってみて、痛い方の脚が痛くない脚より細くなっているようだったら、それだけ使えていない証拠。両足の太さに差が出てきた時には注意が必要だと思います。
また、特に高齢者の場合は、痛みのために体を動かせない期間が長いと筋力の低下が大きいので、痛みを我慢して何年も待ってから手術を考えるよりは、生活の支障が出始めた時点で自分にあった方法を考えたほうがいいと思います。

さまざま手術方法について教えてください。

骨切り術(股関節と膝関節)

骨切り術(股関節と膝関節)

股・膝関節ともに、比較的若い人に行うことが多いのが骨切り術です。骨切りとは、重心となっている部分を替える手術で、股関節では、臼蓋の被りが浅く荷重がかかっている部分が狭いので、臼蓋を削り、被りを大きくし荷重がかかる部分を広くし痛みを軽減させます。膝関節であれば、内側により荷重がかかるO脚をX脚に修正するというイメージで、骨の一部分を切って体重を外側にかかるようにします。自分の骨を温存できるので曲がりが維持できます。しかし手術後の回復に時間がかかるのが難点。長い間歩けないと筋力が低下してしまい、リハビリが人工関節に比べると大変なので高齢者には向かないかもしれません。
そのほかに関節の悪くなった部分を人工のものに置き換える人工関置換術があります。膝関節の場合、悪くなった部分全部を置き換える全置換術と、内側だけ悪い場合は外側の良い部分はそのままにし、内側だけを置き換える部分置換術があります。
このようにさまざまな手術方法がありますが、その人の年齢や関節の状態によって手術方法を提案するようにしています。

手術ではどのようなことにこだわっていますか?

人工股関節置換術後のレントゲン

人工股関節置換術後のレントゲン

人工膝関節置換術(部分と全置換術)

人工膝関節置換術
(部分と全置換術)

人工股関節置換術は、筋肉を切らないで患者さんの負担を少なく、回復を早くする最小侵襲手術(MIS)を用いています。以前は、股関節を曲げたり伸ばしたりすると人工股関節が脱臼してしまうこともあるというので、手術後にいろいろな活動制限をしていました。今はMISで手術をすることで脱臼の可能性を非常に減らすことができるようになり、今のところ私が手術をした中で脱臼してしまった人は経験しておらず、手術後の動きの制限は特にありません。
股・膝関節ともに両脚ともに同じくらい悪い場合は、左右同時に手術をすることもあります。手術の時間は確かに少し長くなりますが、リハビリにかかる時間はそれほど変わりません。状況によって片脚の手術をした1週間後に、もう片方の手術を行うこともあります。高齢者は、動かない時間が長くなるほど筋力が落ちるので、1週間ずらして手術を行うのは、立てない期間をなるべく短くするというのが一つの理由です。


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