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専門医インタビュー

膝や股関節の痛み がまんせず、あきらめず、専門医に相談しましょう

この記事の専門医

縄田 昌司 先生
  • 縄田 昌司 先生
  • 丸の内病院 副院長 整形外科部長 手術部部長
  • 0263-28-3003

長野県

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専門分野:整形外科一般、下肢関節外科、軟骨再生、スポーツ整形外科
資格:日本整形外科学会認定整形外科専門医・指導医、日本整形外科学会認定スポーツ医、日本体育協会認定スポーツドクター、日本医師会認定健康スポーツ医、信州大学医学部臨床教授

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この記事の目次

膝と股関節の手術について教えてください

人工股関節の一例

人工股関節の一例

膝と股関節の手術療法については、私は、基本的には人工関節を中心に考えています。10~15年くらい前は、インプラント(人工関節)の耐久性や再手術の難しさなどがあり、膝、股関節ともに、人工関節置換術は最終的な手段として、実施は遅ければ遅いほどいいという考え方がありました。
そのため、特に若い方については、手術療法の中でも骨切り術といって、関節近くの骨を切ることで本来あるべき構造へと関節を改善し、安定性の向上を目指すことがあります。患者さん自身の骨で治療できるので、若い方に選択されることが多い手術療法です。
ただし、股関節については、私は、40代以降の方は人工関節を選択したほうが、むしろQOL(生活の質)が向上するケースが多いと感じています。特に、人工股関節にするのを先延ばしにする“時間稼ぎ”のために骨切り術を行うのは得策ではないと考えています。
それは、人工股関節のインプラントの改良や手術手技の向上によって、骨切り術よりも人工股関節置換術を選択したほうが、患者さんにとってメリットが大きい場合が多いからです。また人工関節にはいろいろな種類があるので、患者さんの状態や手術の方法などを考え、その人に最も合うものを選択するようにしています。

人工股関節手術を受けるメリットとは何ですか?

変形性股関節症のレントゲン

変形性股関節症のレントゲン

現在のインプラント(人工股関節)は、素材や技術などの改良によって持ちがよくなっています。耐久性の向上したインプラントを正しく挿入できると、股関節を動かしたときに生じる荷重の伝わり方をできるだけ正常に近いかたちへと改善することが望めます。骨というのは新陳代謝を繰り返し、新しい骨へと生まれ変わっています。正しく荷重されることによって正常な新陳代謝が営めれば、股関節周囲の骨の状態をかなり長期間、良好な状態に保つことが期待できるのです。それは、人工股関節にする大きなメリットの一つだと思います。
もう一つ大きなメリットは、股関節周囲の組織や筋肉を温存させるMIS(最小侵襲手術)というテクニックを使うことで、従来の別の手術方式よりも制限される動作が少なくなることです。股関節周囲の組織や筋肉の温存が難しい方法で人工股関節にすると、脱臼を心配するあまり、姿勢や生活動作に制限が必要です。しかし、インプラント、手術手技など様々な技術を組み合わせることによって、姿勢や生活動作の制限があまりなく、若い方にも人工股関節を選択できるようになっていることは、非常に大きなメリットだと考えています。

人工股関節のMIS(最小侵襲手術)について、詳しく教えてください

人工股関節置換術後のレントゲン

人工股関節置換術後のレントゲン

MISの中でも、私が行っているのは、仰臥位前外側進入法(ALS)という方法です。やや専門的になりますが、ALSでは、股関節の中でも、特に脱臼に関係する組織を温存します。筋肉をできるだけ傷つけない方法で人工股関節の手術をすると、例えば、しゃがみ込む、横座りするなどの特定の動作によってリスクが高まる股関節の脱臼をかなりの割合で防ぐことが期待できます。また、将来、ケガなどによって再手術が必要になったときも、ALSで行われていると股関節の周辺組織の損傷が少なくてすむというメリットもあります。そうした側面からも若い方にも人工股関節が適応しやすくなっているのです。
実際、私がALSで人工股関節に置換した患者さんの多くが、「人工関節が入っていることを、つい忘れてしまう」とおっしゃいます。脱臼を防ぐだけでなく、股関節の機能を高く保つという意味でも、かなりの患者さんの満足度を高めることにつながっていると感じています。


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