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専門医インタビュー

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この記事の目次

年齢を重ねると膝の痛みを訴える方は大変多く、歩き始めが痛い、階段をスムーズに下りられないなどの症状は変形性膝関節症かもしれません。変形性膝関節症は、日常生活の中で症状が進行することはあっても、治癒することはありません。「膝に痛みや違和感を覚えたら、我慢できるからといって先延ばしせず、早めに専門医に相談することが大切です。」とアドバイスする回生病院 整形外科 統括部長の衣笠 清人 先生にお話を伺いました。

「 膝が痛む」原因は何ですか ?

O脚は、体重負荷線が内側にあります。

O脚は、体重負荷線が
内側にあります。

人が立ったり歩いたりする場合、体重が膝の真ん中を通ることが理想なのですが、日本人には若干内側を通るO脚が多く、一方で欧米人は、外側に体重がかかるX脚が多いのが特徴です。O脚の場合は体重が膝の内側に強くかかってしまい、加齢とともに膝の骨の表面を包んでいる軟骨が徐々にすり減っていきます。いわゆる内側型で骨がむき出しになり、骨同士がゴリゴリとこすれ合うことで痛みが強くなります。これを変形性膝関節症といい、早い人では40代後半から見られます。
また加齢により徐々に膝が変形し変形性膝関節症になっていくこともあります。膝には大腿骨と脛骨の間に、クッションの役目を果たす線維軟骨からできている三日月形の半月板があるのですが、加齢とともに傷み裂けてしまうことがあります。これを、半月板の変性断裂といい、断裂が起こると、関節の軟骨と軟骨との間に砂が入ったような状態になり、軟骨の摩耗が進み、症状が悪化します。一度擦り減った軟骨は決して元には戻らないため、変形性膝関節症になると元の状態に戻ることができません。

変形性膝関節症にはどのような治療法がありますか?

骨切り術

骨切り術

変形性膝関節症になってしまった場合、以前はヒアルロン酸注射や鏡視下手術(内視鏡)で関節内に断裂した半月板などを取り除いてクリーニングする方法を行ってきましたが、変形性膝関節症を根本的に治癒するには至らないことが分かってきました。変形性膝関節症となった膝を整えるには、手術療法が有効だと思います。手術方法の一つとして、骨の一部を切って人工骨を移植し関節の構造を整える「骨切り術」があります。
当院では、従来の骨切り術とは異なる脛の骨(脛骨)をL字型に切り、O脚になっている脚を軽いX脚にし、体重負荷線を変える方法を以前より導入しています。この手術方法で行うことにより、以前の方法よりも膝関節が安定し、ある程度関節の変形が進んでいる方にも行えるようになりました。骨に切れ目をいれているため、手術後は骨がしっかり引っ付くまでは体重をかけるまでに、およそ1ケ月程度は松葉つえや、両脚を同時に手術した場合は車いすでの生活して頂くことなります。体重をかけて歩けるようになれば、リハビリ期間はおよそ1ケ月程度です。
手術後3~4ケ月でほぼ歩けるようになり、骨と人工骨が一体化し、金属を除去するまでに1年以上の時間がかかりますが、膝がスムーズに曲がるようになり、スポーツや日常かなり膝を酷使することも可能など動きに制限がありません。
そのほかに膝関節の片側表面だけを人工の関節に置き換える「人工関節単顆置換術」や膝の表面全てを人工関節に置き換える「人工関節全置換術」があります。しかし変形性膝関節症だから、すぐ手術というわけではありません。過体重の方の場合、体重を減らすことで痛みが軽減したり、進行を遅らせることができる場合もあります。色々試したけど、痛みのために困っていることを改善したいと思われたら、手術を考えてみても良いと思います。

「骨切り術」「人工関節置換術」はどのような人に向いていますか?

それぞれの方の年齢や膝の変形度合い、またどのような仕事をしているかなどの社会環境や手術をした後にどのような生活を望まれているかによって手術方法が変わります。例えば40~60代くらいと比較的若い方で変形の程度も軽度・中等度の方には「骨切り術」を進めています。手術中に人工骨を入れた部分には骨が再生し、自分の関節を温存でるので運動することも可能です。そのため例えば農業や漁業、大工さんや美容師さんなど膝を酷使するお仕事をされている方や、スポーツをされている人は「骨切り術」が適していると思います。
またご高齢の方で変形が内側のみの軽度・中等度の人なら「人工関節単顆置換術」が向いていると思います。傷口も小さく出血もあまりないので、回復が早いという利点があります。しかし変形がひどく痛みのために歩行が難しくなっている重度の人の場合は、年齢に関係なく「人工関節全置換術」を勧めます。
このように手術方法にも様々ありますので、早めに相談されると治療の選択肢が広がることもあります。


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