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専門医インタビュー

つらい膝の痛み 早めに専門医に相談し自分の状態を知りましょう

この記事の専門医

衣笠 清人 先生

香川県

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岡山県出身
専門分野:重症外傷・関節疾患・脊椎疾患
資格:医学博士、日本整形外科学会 専門医、日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医 日本整形外科学会認定 運動器リハビリテーション医、日本体育協会公認 スポーツドクター、日本骨折治療学会評議員、中部日本整形外科災害外科学会 評議員

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この記事の目次

人工膝関節置換術について詳しく教えてください。

人工膝関節置換術は、傷んでしまった関節の表面を取り除き、金属でできた人工関節と軟骨の代わりになるポリエチレンに置き換える手術です。
人工膝関節全置換術の場合、術前にどれくらいの角度でどのくらいの量の骨を削ったらよいかという術前計画を綿密にたてます。この計画に基づいて手術中に、骨と人工関節がぴったり合うように1mm、1度単位で骨を削り、形を整えていきます。また縮んだ靭帯(じんたい)を剝離して伸ばし、関節の内側と外側に体重が均等にかかるように調整し、手術中にどれくらい膝を曲げることができるか写真を撮り、術後に患者さんに見てもらうようにしています。
手術は膝の曲げ伸ばしなどを確認しながら行い、全置換術で3時間ほど、単顆置換術で2時間ほどになります。

人工膝関節全置換術
人工膝関節全置換術の流れ
人工膝関節単顆置換術
人工膝関節単顆置換術の流れ

人工膝関節全置換術と単顆置換術の違いを教えてください

人工膝関節置換術には、膝関節全体を人工関節に置き換える全置換術と膝関節の内側を人工関節に置き換える単顆置換手術という方法があります。初期の変形性膝関節症では、O脚の場合は膝の内側だけが傷み、膝の内側に負担がかかり、軟骨のすり減りが早まったりする場合があります。この場合、膝の傷んでいる内側のみを人工関節に置きかえるのが単顆置換術です。単顆置換術では医療用のセメントを用いて固定するタイプのものを使用しているので、将来的に人工関節が緩み、場合によっては再手術の可能性があるので、70代後半の方に向いている手術と考えています。単顆置換術では、全置換術に比べ約半分の大きさの人工関節を使用するため、全置換術に比べて皮膚の切開や骨の切除量が少なく、膝もよく曲がり、回復も比較的早いという特徴があります。

人工膝関節単顆置換術後のレントゲン
人工膝関節単顆置換術後のレントゲン
人工膝関節全置換術後のレントゲン(正面)
人工膝関節全置換術後のレントゲン(側面)
人工膝関節全置換術後のレントゲン(正面、側面)

一方全置換術は骨切り術や単顆置換術では対応できないくらい膝関節の状態が進行している方が適応となります。膝関節の進行や筋肉の衰えで膝が不安定になっている方が多く、そのため膝にある前十字靭帯がすり切れている方が多くいらっしゃいます。単顆置換術に比べ、筋肉を切るなど侵襲が大きく出血も多くなります。ブロック麻酔やカクテル注射などで痛みを軽減するようにしているのですが、単顆置換術に比べると痛みや腫れが強くなります。

術後のリハビリについて教えてください

リハビリは、自分で足を曲げ伸ばしする自動運動、理学療法士が足を持って動かす他動運動、歩行訓練などを行います。毎日の訓練で可動領域を広げ、しっかり歩けるようにトレーニングします。リハビリ室だけでなく、自室や自宅でも訓練できるよう、筋力アップトレーニングなど自主訓練の方法も学びます。
特に術後1カ月は、リハビリを精力的に行ってください。良好な可動域を得るためには。最初は痛みを伴いますが、そこで「痛いから無理しては駄目だ」と甘やかすと、期待している通りに膝が曲がらなくなることがあります。入院期間中だけでなく、自宅に帰ってからも、「曲げる」、「伸ばす」の動きをしっかりと努力して続けることが大切です。
人工関節単顆置換術を受けたほとんどの人は、手術の翌日から立つことができ、リハビリにより膝は十分に曲がるようになります。2~3ケ月もすれば、日常生活においても違和感なく過ごされている方が大勢いらっしゃいます。
人工関節全置換術は、単顆置換術に比べ侵襲も大きいので、術後は腫れや痛みもありリハビリがやや辛い状態の時もあります。しかし、それを乗り越え傷が癒えるとともに、リハビリを行うことで痛みなく歩けるようになります。


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