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専門医インタビュー

膝の痛みに対する治療メリット、デメリットを考え必要な治療を選択しましょう

市川 哲也 先生

愛知県

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資格:日本整形外科学会専門医、日本リウマチ学会専門医

この記事の目次

変形性膝関節症は、動かさなければ痛みを感じないこともあります。しかし、中高年になって歩けなくなってしまうと、骨粗しょう症や認知症などさまざまな病気を引き起こすリスクが高まります。「人工膝関節の手術をしたときのメリットとしなかったときのデメリットを天秤にかけてほしい」と話す成田記念病院の市川哲也先生に、膝の痛みの原因と治療法について伺いました。

膝の痛みの主な原因は何ですか?

膝の構造

膝の構造

中高年になって膝が痛む原因の一つに、軟骨の変性があります。加齢とともに軟骨が傷み、そこからなし崩し的に膝関節の変形が起こり、変形性膝関節症を発症すると考えられます。膝は、体重を支える大きな関節の一つで、普通に歩いているだけで体重の4~5倍の力がかかっています。しかも、膝関節の構造は、一つの方向にだけ動くので、普通に生活していても傷みやすい関節でもあるのです。そんな膝関節でクッションの役割をしている軟骨が変性し、骨同士がぶつかり合って変形が起こると、膝関節に加わる力の応力も変わってくるのでますます変形が進み、痛みも悪化していくことが多いのです。

膝関節の軟骨が変性するのは、年をとれば仕方のないことでしょうか?

関節リウマチ

関節リウマチ

膝関節の軟骨の変性は、加齢はもとより筋力の問題、肥満など様々な原因によって起こります。ただし、年をとると皆が皆、同じように軟骨が変性するわけではなく、私は、個人差が大きいと感じています。なぜ、個人差が生じるのかは、まだ研究段階で明言はできません。しかし、変形性膝関節症の中には、片膝だけにとどまらず、両膝、股関節、指先と同時に他の関節にも変形性関節症を発症してしまう人がいます。そのような全身性の変形性関節症の場合、もともと軟骨に何らかの問題を持っていて、加齢やそのほかの原因をきっかけに次々と変形性関節症を発症してしまうのではないかと考えられます。
ちなみに、全身性の変形性関節症と似たような現象を引き起こす病気に関節リウマチがあります。関節リウマチの場合は、元々の軟骨の問題とは関係なく、自己免疫疾患といって自分の免疫が自分自身を攻撃してしまうことによって関節の破壊が起こる病気です。
全身性の変形性関節症とはまったく違うものと考えてください。

変形性膝関節症の治療について教えてください

変形性膝関節症と診断された場合、一般的には体重コントロールや筋力トレーニング、必要に応じて補助装具をつけてリハビリを行うなどの保存的治療から始まります。さらに、痛みが強い場合は、痛み止め薬の服用やヒアルロン酸の注射などを行い、保存的治療でどこまで生活できるかを確認することから始めます。
保存的治療で痛みが改善しない場合、膝関節の半月板という組織に問題が起きていたり、膝関節内で軟骨か骨のはがれたものが太ももの骨(大腿骨)とすねの骨(脛骨)の間に挟み込まれたりすると、激痛が起こることがあります。診察の中で、そのような状態が確認できた場合は、関節鏡を用いて、痛みの原因を取り除く手術を行うことがあります。ただし、関節鏡の手術は、初期の変形性膝関節症の場合に行われることが多く、当院では、先の処置を行うのと同時に、軟骨がどのくらい傷んでいるのかを評価するために行うこともあります。


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