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専門医インタビュー

10年先、20年先の自分の生活を考えたひざ痛の治療選択を!!

この記事の専門医

朝田 滋貴 先生
  • 朝田 滋貴 先生
  • 樫本病院 朝田整形外科 院長 近畿大学病院整形外科 非常勤講師
  • 072-366-1818

大阪府

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専門分野:膝関節の外科治療、人工関節置換術、軟骨再生治療、膝関節のバイオメカニクス
資格:日本整形外科学会認定整形外科専門医、日本リウマチ学会リウマチ専門医、日本整形外科学会認定スポーツ医

この記事の目次

疼痛管理や、リハビリから退院までの流れを教えてください

リハビリテーション室

リハビリテーション室

手術中にカクテル注射(傷口を閉じる前に関節周辺の組織に局所麻酔薬やステロイド剤、麻薬などの薬物を直接注射する方法)を行うことで、術後の痛みがかなり抑えられるようになっています。
通常、手術翌日には歩行器を使っての移動を開始し、ほとんどの人は1週間前後で杖歩行、その後の1週間で階段昇降もできるようになって、2週間で退院となります。退院後の3カ月間は膝に熱感もあり、安静期間だと考えて「まだ膝は工事中の状態ですから、あまり歩かないように」と指導しています。
その間は、通院リハビリテーションなどで筋力トレーニングや可動域訓練を行うと、身体的にも効果的ですし、精神的な安定にもつながるでしょう。
膝関節の状態が落ち着けば、衝撃の強いスポーツ以外は日常生活の制限はしていません。ただし、術後の状態がどんなに良好でも、少なくとも1年に1度の定期検診で状態をチェックしてもらうことは、決して欠かさないようにしてください。それが人工関節と上手に付き合っていくための重要なポイントです。

人工関節の耐久性は向上しているのでしょうか?

人工関節の一例

人工関節の一例

人工関節の性能の向上や手術件数の増加により、人工膝関節が再置換に至ることは、現在ではあまり見受けられなくなりました。耐用年数は格段に伸びてきたといっていいでしょう。しかし、50年にわたる人工関節の歴史を振り返ると、当初の耐久性を重視した時代を経て、最近では、機能性を追求する時代になってきたといえます。両十字靭帯温存型の人工膝関節などがその例ですが、機能性の追求は必ずしも耐久性が向上するとは限りません。しかし、若かりし頃の膝を復元できる可能性は大いにあります。今後の人工膝関節は、耐久性を損なうことなく患者さんの多様なニーズに応えられる時代を目指していくのかもしれませんね。

膝の痛みに悩んでいる人や手術を迷っている人へアドバイスをお願いします

朝田 滋貴 先生

人工膝関節置換術は、単に「痛みを取り除く」ための手術から、「生活の質を高める」ための手術へと変遷してきたと感じています。「釣りに行けなくなったから」と両膝を手術した人は、術後の受診時の開口一番に「岩場も平気で歩けるようになりました」と嬉しそうに報告してくれました。「こんなによくなるのなら、もっと早く手術すればよかった」という声も多く寄せられています。人工膝関節術後の患者満足度は80%~90%といわれていますから、手術した人全員が満足しているわけではありませんし、ある程度の痛みが残ることもあります。しかし、人工膝関節置換術が年々増加し、現在8万件以上行われているという事実は、手術によって、今までできなかったこと、あきらめていたことができるようになった症例が多いことの表れではないかと推測することができます。人工膝関節置換術は、合併症が比較的低い手術ですから、むやみに怖がる必要はないと思います。
10年先、20年先の生活の質の向上を考えて、手術と向き合ってみるのもいいのではないでしょうか。




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