専門医インタビュー
病院を受診するタイミングには個人差がありますが、痛みが出始めたら早めに整形外科を受診してください。
すでに受診してさまざまな治療を受けている人でも、効果を感じられなくなった場合は主治医に相談してみましょう。その場合は、本当に痛みの原因が何か、再検討する必要があるからです。
膝が痛くなる要素にはさまざまなものがありますので、何が原因で膝が痛くなるのか、病院でしっかり検査を行い、痛みの原因を突き止めることが治療の第一歩です。その上でどのような治療や手術が有効か、メリットとデメリットの両方を患者さんと話し合って、十分に納得してもらってから治療方針を決めていきます。
ヒアルロン酸注射
まずは膝の痛みを軽減するため、鎮痛剤や湿布薬の処方から始めます。それと並行して、運動療法や膝関節の主成分であるヒアルロン酸を、関節内に直接注射するなどの保存療法をその人に合わせ治療を行っていきます。
症状が進行して手術が必要になったとしても、患者さんご本人の意思を尊重して、医師が手術を強要することはありません。また変形性膝関節症は、命に関わる疾患ではないので、生活に困っていなければ無理に手術を受ける必要はないと思います。
あくまで治療の主体は患者さんにあるので、治療方法のメリット・デメリットをしっかり聞き、ご自身にあった適切な治療方法を選択してください。
人工膝関節置換術後の
レントゲン
人工関節置換術とは、軟骨がすり減って変形した関節の表面を取り除き、金属やポリエチレンで作られた人工関節に置き換える手術です。人工関節は、以前よりもポリエチレンなどの材質改善などにより、人工関節の耐用年数は15年から20年といわれています。今後、更に研究が進みより耐用年数があがることを期待しています。人工関節のメリットは、骨同士が接触することで生じる膝の痛みを解消できることだと思います。それと膝の可動域と安定性の獲得も、人工関節置換術のメリットだと思います。膝の可動域と安定性の獲得を目指せるように、より正確に人工関節を設置するために専用の手術用ナビゲーションシステムを使用し、術前に綿密にたてた手術計画により近い手術ができるようになっています。手術は全身麻酔で行われ、2時間から2時間半ほどで完了します。
以前は、○○歳以上でないと手術をしてはいけないという時もありました。現在は全身状態に問題なければ、手術を受ける事ができる年齢に特に制限はありませんから、歳だから手術はもう無理と諦める必要はないと思います。
骨切り術と単顆置換術
人工関節の中には、悪くなった膝の表面全てを置き換える全置換術と痛んでいる内側の部分だけを変える単顆置換術があります。また人工関節置換術以外の手術方法としては、ご自身の骨を活かす骨切り術があり、脛の骨に切れ込みを入れ、骨の傾きを変えることでO脚を矯正し膝にかかる荷重の位置を変える手術方法です。
骨切り術と単顆置換術の適応は似ており、膝のじん帯がしっかり機能していることや痛んでいる部分が膝の内側に限局していることなどがあります。関節の変形度合いや痛みの症状に合わせたさまざまな手術方法がありますので、まずは膝の状態を詳しく検査した上で、どのような治療方法があるかを確認し適切な治療を選択しましょう。
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