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専門医インタビュー

膝関節や股関節の痛み 我慢せず、あきらめず、専門医に相談してください

この記事の専門医

岸本 勇二 先生

鳥取県

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所属学会:日本整形外科学会(専門医)、日本リウマチ学会(専門医・指導医)、日本人工関節学会、日本股関節学会、中部日本整形外科学会、中国・四国整形外科学会

この記事の目次

リハビリから退院までの流れを教えてください

横座りやしゃがみ込み

膝関節も股関節も、原則として翌日から歩行器を使った歩行練習を開始します。1週間程度で杖歩行を始め、股関節でMISの場合は、一定の距離を杖歩行できる、段差の移動ができる、床の上での動作ができる、という3つがクリアできて2週間で退院となります。MIS以外の手術では、同様に3つがクリアできて3週間で退院。高齢独居の方は目標設定が少し高くなりますので、もう少し時間がかかることもあります。
膝関節は、退院後にあまり頑張って動かしすぎると腫れたり熱を持ったりしますので、3カ月くらいは様子を見て、徐々に活動の幅を広げていくようにと指導しています。股関節は、脱臼の50%~70%が3カ月以内に起こるといわれていますので、横座りやしゃがみ込み、靴下をはく、といった脱臼リスクを伴う動きには気をつけるよう指導しています。3カ月を過ぎれば、習慣的な長距離走やコンタクトスポーツなどの激しいスポーツ以外は特に日常生活の制限はしていません。レクリエーション程度のスポーツであれば十分に楽しめるでしょう。

人工関節の耐用年数はどのくらいなのでしょうか?

患者さんには15年後で95%、20年後で85%~90%の人が問題なく使っていると説明しています。ただし、これは20年以上前に手術を行った人工関節のデータですから、手術手技も人工関節自体も進化した現在であれば、多くの方で30年以上は持つのではないかと考えています。
また、人工関節と上手に長く付き合っていくためには、定期的なチェックが欠かせません。問題がないと思っても、1年に1度程度は必ず定期検診を受けましょう。人工関節が緩んでくると、周囲の骨が吸収されてなくなっていきますが、当初は自覚症状がないことも少なくありません。久しぶりに受診した時にはほとんど周囲の骨がなくなっていて、他人の骨を移植して人工関節を再置換したという人もいます。複雑な手術になると合併症のリスクも増しますし、術後の機能レベルも落ちてしまう可能性があります。適切なタイミングで適切な処置を受けるためにも、定期的な受診を心がけてください。

膝関節や股関節の痛みに悩んでいる人、手術を迷っている人へアドバイスをお願いします

岸本 勇二 先生

人生100年時代が現実的になってきたいま、動ける体や歩ける脚を保ち続けるというのは、とても重要なことです。それにもかかわらず、「この痛みは治らないから」「70や80になってからではもう遅いから」といった思い込みや、あるいは間違った情報を信じて、痛みをあきらめてしまっている人がたくさんいます。
しかし、その痛みは、適切な治療を行えば劇的に改善するかもしれません。一人で悩まず、まずは近くの整形外科を受診してみてください。
その中で手術という言葉が出てくれば、当然不安になると思います。しかし、整形外科医は患者さんの5年後、10年後の生活を考えてアドバイスをしているはずです。いたずらに痛みをこらえる期間を延ばしていては、生活の質が著しく低下してしまいます。適切な時期に手術と向き合ってみてはいかがでしょう。氾濫する情報に惑わされないためにも、関節の専門医が行っている患者教室や公開講座などで、正しい知識を得ることも大変有用だと思います。


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