膝の痛み、早目に相談を　ご存知ですか?半分だけの人工膝関節を

人工膝関節置換術とはどのような手術ですか？

人工膝関節部分置換術後のレントゲン

人工膝関節置換術とは、変形して傷んだ関節を取り除き、金属やポリエチレンでできた人工膝関節に置き換える手術で、除痛効果に優れた長期成績のいい手術です。患者さんの状態に応じて、膝関節の表面全体を置き換える人工膝関節全置換術や、傷んでいる片側だけを置き換える人工膝関節部分置換術があります。
全置換術は基本的に十字靭帯を切除しますが、部分置換術は十字靭帯を温存できるので、より自然な膝の動きが獲得できます。また、全置換術と比べ傷口が小さく、骨を削る量も少ないので、術後の痛みが少なく早期回復が望めるのが特長です。「変形が軽度」「膝の片側のみが痛い」「靭帯に異常がない」「膝が100度程度は曲がる」「関節リウマチではない」などの適応条件がありますが、侵襲が少なく回復も早いので高齢者にも向いています。「半分だけで済むなら」と手術を決心する方も少なくありません。

両側同時に手術することもあるのですか？

人工膝関節（部分置換）の一例

両側に同程度の痛みがある場合に片側だけ手術を行うと、痛みが残っている脚で術後の脚を支えなければならないため、その後のリハビリに支障が出ることがあります。そのため、患者さんが希望し、体力的にも問題がなければ、全置換術でも部分置換術でも両側同時手術を行うことも可能です。
とくに部分置換術の両側同時手術では、術中の出血はほぼなく、術後の内出血量を含めても、全置換術の両側同時手術時の出血量の半分以下で済むため、輸血の必要もほぼありません。手術時間は全置換術、部分置換術ともに片側手術の2倍かかりますが、手術も麻酔も1回で済むので、患者さんの精神的負担や経済的負担は軽減するといってよいでしょう。

手術時のナビゲーションシステムについて教えてください

ナビゲーションシステム

人工膝関節置換術では、人工膝関節を正確な位置へ設置することが何よりも重要で、それをサポートするツールとしてナビゲーションシステムがあります。ナビゲーションシステムによって、ねらった角度に1度刻みの正確さで設置することも可能になっています。
人工膝関節置換術は、どうしても術者の経験値や技量に依存する部分があります。ナビゲーションシステムを活用するのとしないのでは、短期的には影響はないかもしれませんが、ナビゲーションを活用し理想的な位置に人工膝関節が設置されていれば、長期的な耐用性などの成績に影響がでるのではないかと期待しています。