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専門医インタビュー

ロコモを放置せずいつまでも歩けるように早目に、前向きな治療選択を

この記事の専門医

岸田 俊二 先生
  • 岸田 俊二 先生
  • 聖隷佐倉市民病院 院長補佐兼手術部長兼骨粗鬆症リエゾンサービスセンター長
  • 043-486-1151

千葉県

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日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会リウマチ認定医
所属学会:日本整形外科学会、日本人工関節学会、日本股関節学会、関東整形災害外科学会、American Academy of Orthopaedic Surgeons
評議員・幹事:日本整形外科学会 広報渉外委員会委員長(令和元年-令和2年)、AO Trauma Japan 上級会員、ロコモチャレンジ!推進協議会委員、Journal of Orthopaedic Science 査読委員

この記事の目次

手術のタイミングについて教えてください

人工股関節の一例

人工股関節の一例

変形性股関節症の手術には、人工股関節置換術がありますが、必ず手術を受けなければいけないわけではありません。ご自身の日常生活の質を高める手段があると捉えるとよいと思います。ですから、手術を受けるタイミングは、人それぞれです。例えば、股関節の痛みががまんできない、痛みによって歩くのも億劫、就寝中も股関節が痛いというように、ものすごく日常生活が制限されてから手術を受ける人もいれば、40代、50代の子育て世代や働き世代が必要に迫られて手術を決めることもあります。さらに、痛みで制限を受けることなく、趣味の庭仕事や旅行を楽しみたいからといって手術を受ける人もいます。

人工股関節手術後の痛みやリハビリについて教えてください

車椅子のイラスト

手術後の痛みについては、麻酔科医の管理のもと、いくつかの方法を用いて疼痛コントロールを行うので、ほとんどの方が痛みをあまり感じることなくリハビリを開始しています。リハビリは、手術の翌日から車椅子に乗ってトイレに行くことからはじめ、できる人はリハビリ室で歩行訓練などが始まります。離床が早ければ早いほど、手術後の血栓のリスクが減らすこともできます。
たいていの人は、手術後、一週間もすると杖なり歩行器なりを使って歩けるようになります。

人工股関節の手術後、生活する上で注意することはありますか?

ゴルフの写真

人工股関節の大きなメリットは痛みが楽になることですが、その一方で、脱臼や感染のリスクはあります。ただし、脱臼については、股関節周りの筋肉にダメージが少ない手術方法で行うとか、手術後のリハビリを早く始めるといったことでリスクを低減できます。そのため手術後は、体をよく動かすようにした方が良いでしょう。股関節周りの筋肉がしっかりしてくると、脱臼しづらくなるからです。手術を受けた人の中には、シンクロナイズドスイミングを再開した方や、乗馬、ゴルフ、テニスなどの運動を楽しまれている方がたくさんいらっしゃいます。手術をしたら“おとなしく”というわけではなく、しっかり動いて人生を楽しく過ごしてください。感染は、特に糖尿病やむし歯でリスクが増えるので、手術前・手術後ともにしっかり治療したり、ご自身で予防に努めることでかなりの感染リスクが減らせると思います。

最後に、股関節の痛みに悩んでいる方にメッセージをお願いします

岸田 俊二 先生

股関節が痛いというのは、本当に辛いことだと思います。特に、変形性股関節症は中高年女性に多いので、子育て、家事、仕事と本当に困っていると思います。股関節治療の目的は、日常生活の質を上げることだと考えています。人工股関節の手術は、あくまでもその選択肢の一つに過ぎません。しかし、病状が進んで、生活の質を落としてしまっていて、手術でそれが改善できる可能性があるのなら、前向きに捉えてみてはいかがでしょうか。手術を受けて良くなりたいという前向きな意欲のある方は、リハビリにも積極的で術後の回復も良い印象があります。もちろん、手術だけでなく他にも治療の選択肢があります。ご自身の治療方法を医師とともに一緒に考え、適切な治療を選択してください。

※本ページでロコモパンフレットより引用しているイラストは、ロコモチャレンジ!推進協議会承諾により使用しています。


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