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専門医インタビュー

膝痛はがまんしないことが大切。早期受診で予防を含めた治療の選択肢を広げましょう

吉岡 太郎 先生
  • 吉岡 太郎 先生
  • 板倉病院 整形外科
  • 047-431-2662

千葉県

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日本整形外科学会専門医、日本リウマチ学会指導医、日本リウマチ財団登録医、日本整形外科学会脊椎脊髄病医、日本整形外科学会運動器リハビリテーション医/専門領域:膝・足・股関節、関節リウマチ

この記事の目次

変形性膝関節症による膝痛は、中高年以降の人の多くが抱えているといわれています。
痛みをがまんせず、すぐに整形外科を受診することで、進行予防を含めたさまざまな治療の選択肢が広がると話す板倉病院の吉岡太郎先生に、変形性膝関節症の原因や人工膝関節手術について伺いました。

中高年の膝痛の主な原因は何ですか?

O脚のレントゲン(体重がかかる軸が膝の内側に偏っています)

O脚のレントゲン
(体重がかかる軸が
膝の内側に偏って
います)

変形性膝関節症のレントゲン

変形性膝関節症の
レントゲン

膝痛を引き起こす原因はいろいろあります。例えば、若い頃にスポーツなどのケガで膝を傷めたことによる半月板や靭帯、軟骨の損傷からくるものや、関節リウマチに代表される炎症性疾患も膝痛の原因となります。その中でも多いのが変形性膝関節症です。75歳を過ぎると3人に1人は変形性膝関節症による何らかの痛みを抱えているとも言われています。
変形性膝関節症の原因には、加齢に加えて、肥満、O脚などがあります。
膝は、体重を支える荷重関節なので、体重の重い人のほうがどうしても物理的な負担が大きくなります。さらに、日本人の変形性膝関節症の約9割は、O脚による変形だと言われています。O脚の場合、体重がかかる軸が膝の内側に偏ります。そのため、ガニ股で体を揺すって歩くなどO脚のままで長年歩いていると膝関節の内側ばかり傷んでくるので、変形性膝関節症が進んでしまいます。

変形性膝関節症の場合、どのような治療法がありますか?

内転筋を鍛える運動

内転筋を鍛える運動

一般的に、保存療法から始まります。保存療法としては、肥満の人は減量、湿布薬、消炎鎮痛薬などの痛み止め薬、O脚を改善する装具、ヒアルロン酸注射などがあります。その中でも、まず基本となるのは筋力強化です。筋力強化は変形性膝関節症の状態が軽い重いにかかわらず、太ももの前面の大腿四頭筋、O脚の人は太もも内側の内転筋は特に鍛えたほうがいいでしょう。
例えば、内転筋なら内ももに本などを挟んだまま、10秒間、膝を思いきり締める。これを1回5セット朝晩行います。大腿四頭筋は、立った状態で10秒間、膝に力を入れながら真っ直ぐに伸ばします。この運動は、例えば電車のつり革につかまって行うことも可能です。日常生活の中に、ぜひ取り入れてみてください。

痛いと動かすことが億劫に感じてしまうのですが?

膝関節を動かさず、静止したまま筋肉に力を入れる(アイソメトリック・トレーニング)

膝関節を動かさず、静止したまま筋肉に力を入れる
(アイソメトリック・トレーニング)

膝関節を動かさず、静止したまま筋肉に力を入れる「アイソメトリック・トレーニング」なら、重度の人でも行えます。
痛みがあると動かすのが辛いと思いますが、筋肉が衰えるとそれだけ骨への負担が大きくなり、やがて歩きにくくなってしまうことがあります。痛みが強い場合は鎮痛薬などでコントロールしながら筋力を上げるということが、保存療法の基本になると思います。
また、このような運動に加えて、歩き方を改善することも大切です。例えば、歩き方を理学療法士にチェックしてもらい、正しい歩き方を学んで日常生活で実践すると良いでしょう。それによって膝関節への負荷が軽減されると変形性膝関節症の進行予防につながるからです。
これらの保存療法でも痛みが改善しない場合、次の治療の選択肢として手術療法があります。


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