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専門医インタビュー

膝痛はがまんしないことが大切。早期受診で予防を含めた治療の選択肢を広げましょう

この記事の専門医

吉岡 太郎 先生
  • 吉岡 太郎 先生
  • 板倉病院 整形外科
  • 047-431-2662

千葉県

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日本整形外科学会専門医、日本リウマチ学会指導医、日本リウマチ財団登録医、日本整形外科学会脊椎脊髄病医、日本整形外科学会運動器リハビリテーション医/専門領域:膝・足・股関節、関節リウマチ

この記事の目次

手術後のリハビリについて教えてください

リハビリ室

リハビリ室

人工膝関節置換術は骨を切るので、手術中、ある程度出血するものの、止血剤や止血器械をして、できる限り少ない出血量にとどめます。手術直後、痛みが強い場合は、大腿神経ブロックの麻酔薬をチューブで持続注入したり、複数種類の鎮痛剤を使用したりして、術後の痛みをコントロールをすることもあります。以前は、手術後の痛みは我慢するのが当たり前でしたが、今はあまり痛みを感じずにスムーズにリハビリを進められるような取り組みがされています。

生活していく上で注意することはありますか?

人工膝関節のポリエチレンの一例

人工膝関節のポリエチレンの一例

基本的にあまり制限を設けていませんが、全力疾走したり、膝を急にひねったりすることは人工膝関節によくありません。スポーツをしたい人は、ゴルフとかテニスのような自分で加減できるものが良いでしょう。ウォーキングもおすすめです。
また、正座は医師の見解が分かれるところですが、仕事や趣味でどうしても正座が必要な場合を除いては、基本的には推奨しないことが多いです。そもそも正座というのは膝関節がやや脱臼している状態ですから、ずっと続けていると人工膝関節のポリエチレンの摩耗につながり、トラブルの元になりかねません。
あとは、膝は曲がるだけではなく、伸びることも大切です。1日の中で椅子などに座っている時間が長かったり、寝るときに膝の裏側に枕を当てて、膝を曲げた状態を長く続けていたりすると、膝がきちんと伸びなくなってしまいます。ですから、人工膝関節の手術後しばらくの間は自分で伸ばす練習を続けるということも非常に大切です。
近年では人工膝関節の素材が良くなってきているため、的確な位置に設置されていれば、ごく一部の例外を除いて20年以上は持つのではないかと思います。人工膝関節のリスクとされているところも、医療技術の進歩によってかなり改善されていると言っていいでしょう。それに加えて、ご自身で膝の使い方に気をつけていただくことで、長期的に見た場合に、より機能性が高く、長持ちする膝関節になるのだと思います。

最後に、膝痛に悩んでいる人にメッセージをお願いいたします

吉岡 太郎 先生

とにかく痛みをがまんしないでいただきたいです。膝痛があるときは、それを改善するための努力をすること、あとは歩くことの楽しさやモチベーションを持ち続けることが大切です。歩けなくなってしまえば、それだけ心肺機能も低下し、寿命も短くなってしまうことがあります。日本人の平均寿命は長くなっていますが、大切なのは健康寿命です。寿命が尽きる直前まで健康でいるためには、自分の足で歩けるということがとても重要なことです。人工膝関節置換術は痛みの改善を期待できる患者さんの満足度の高い治療法です。それによって健康寿命が伸ばせるということをご理解いただき、勇気を持って膝の専門医を受診していただきたいと思います。




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