関節治療の専門医に聞いてみました!

第275回 女性に多い変形性股関節症
治療方法もリハビリも
進化しています

ドクター
プロフィール
International member American Academy of Orthopedic Surgeons、Active member Orthopedic Research Society、International member International Society for Technology in Arthroplasty、日本リハビリテーション医学会 専門医・指導医、日本整形外科学会認定 整形外科専門医・学会認定リウマチ医、日本リウマチ学会 リウマチ専門医、日本再生医療学会会員、中部整形外科災害外科学会会員、日本股関節学会会員、日本人工関節学会会員
エリア 大阪府タグ
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薮野 亙平 先生

立ち上がる時や歩く時に、足の付け根に痛みや違和感があったり、足を動かしにくいと感じたり……。日常的に股関節の不調を感じながらも、治療や手術への不安を抱えている人は少なくありません。股関節の痛みの原因や治療法もさまざまです。今回は、大阪中央病院の薮野先生に、股関節の痛みの原因や治療、手術の現状を伺いました。

股関節の痛みの原因にはどのようなものがありますか?

正常な股関節と臼蓋形成不全

     正常        臼蓋形成不全

股関節は、左右の脚の付け根にある関節です。骨盤のくぼみに、球状の太ももの骨(大腿骨頭)の先端がぴったりとはまり込む構造になっており、このおかげで私たちは足をさまざまな方向に動かすことができるのです。股関節に痛みが出る原因として最も多いのは、骨盤と大腿骨の間でクッションの役目を果たしている軟骨がすり減り、そのために骨が変形してしまう「変形性股関節症」。その、ほとんどが女性です。というのも、日本人女性は、遺伝的に骨盤のくぼみ(臼蓋)が浅く、骨盤が大腿骨の先端を深く覆えていない「臼蓋形成不全」の人が多いのです。臼蓋形成不全のある人は、通常よりも小さい面積で体重を支えることになり、知らず知らずのうちに股関節に負担がかかり、中高年になってから痛みなどの症状が出やすくなるというわけです。このほか、若年者によく見られる「大腿臼蓋インピンジメント」や「股関節唇損傷」、高齢者が骨粗しょう症やサルコペニアなどを患い転倒してしまうと、股関節付近を骨折して痛みが出ることもあります。また、数は少ないものの、骨の一部が壊死して変形してしまう「大腿骨頭壊死症」で痛みを訴える方もいます。このように股関節が痛い、違和感がある場合にはさまざまな原因が考えられます。

股関節の痛み、受診のタイミングと検査方法について教えてください

前期、初期、進行期、末期の4段階

受診のタイミングに決まりはありませんが、痛みや違和感をうったえ受診される方は多いと思います。しかし中には痛みがあるのに放っておくと、痛みを避けようとして運動不足になり、筋力や骨量が低下してしまう恐れもあります。さらに、股関節は上半身と下半身をつなげる大切な関節ですから、動かさない状態が長く続いて本来の機能が失われてしまうと、背骨、膝、腰などにも悪影響を与えかねません。実際に、股関節が原因で膝の関節症や腰痛が出てくることもあるので注意が必要です。変形性股関節症かどうかは、レントゲンで確認すれば分かります。変形性股関節症は、軟骨のすり減り具合によって、前期、初期、進行期、末期の4段階に分けられます。しかし、股関節唇損傷のようにレントゲンでは判断できない疾患もあり見落とされてしまうこともあります。股関節に痛みがあるのに、レントゲン画像上では異常が認められない場合は、MRIやCTなどでさらに詳しい検査が可能ですので、股関節に痛みや違和感があれば、ぜひ股関節を専門にする整形外科医を受診してほしいと思います。

最近よく「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)」という言葉を耳にし ますが、股関節の痛みがロコモにつながる心配もあるのでしょうか。

ロコモティブシンドロームとは、骨や関節、筋肉など運動器の衰えが原因で、「立つ」「歩く」といった機能(移動機能)が低下している状態のことをいいますが、もちろん股関節痛とも無関係ではありません。股関節の痛みがひどくなると、立ちあがったり、歩いたりすることそのものがおっくうになりますね。また、足をかばうために杖を使う人も少なくありません。杖をつけば、その時は確かに楽ですが、それ自体では治療になりません。むしろ、長く杖に頼ることで左右のバランスが崩れたり、筋力や骨量の低下が進むことにもなります。そんな状態が長く続けば、立ったり歩いたりするのがさらに困難になり、ロコモティブシンドロームを招く一因になるのです。特に高齢になると、いったん筋力や骨量が落ちれば回復させるのは簡単ではありません。

日本整形外科学会公式 ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト


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