専門医インタビュー
最近では手術にともなう痛みを軽減するお薬や麻酔など様々な対策が取られているので、以前よりも痛みを感じずにリハビリが行えるようになってきています。そのため、寛骨臼骨切り術と人工股関節置換術のどちらも、術後早期に立ち上がってリハビリが始まります。寛骨臼骨切り術では、術後1~2日はベッド上で安静にしていただきますが、その後は股関節を動かす、筋力をつけるといった基本的なプログラムを行い、3週間後くらいからは体重をかけたリハビリを行っていき、およそ2ケ月で退院となります。
人工関節手術の場合、手術の翌日にベッドサイドで立ち上がる練習をしますが、その時すでに歩ける人は廊下まで歩くリハビリが始まります。その後は、可動域訓練や歩行訓練、筋力訓練を増やしていき、手術後およそ3週間で退院となります。寛骨臼骨切り術と人工股関節置換術ともに、術後の痛みが辛い場合は、無理せず鎮痛薬などを使用しリハビリを行ったほうが良いでしょう。
個人差はありますが、過度な負荷がかからない日常生活やお仕事の場合は、退院後、早い復帰が見込めます。
スポーツは、ウオーキングや水泳は股関節周りの筋肉増強に効果的で、自転車、ゴルフ、趣味程度の卓球・テニスなど適度な運動はお勧めです。しかし人工股関節置換術を行なった方はバスケットボールやバレーボール、マラソンといった、股関節に過度な負荷がかかる運動は控えたほうが良いので、医師とよく相談しながら趣味や運動を行って欲しいと思います。ただし人工関節の手術を受けた場合、転倒すると人工関節周囲の骨が折れることがあるのでくれぐれもご注意ください。
変形性股関節症は、年配の方がなる病気のイメージがあるかもしれません。しかし20代や30代の若い方でも、生まれつきの寛骨臼形成不全が進行し変形性股関節症を発症している場合があり、早い方は10代で手術を受けられる場合もあります。
ご自身が寛骨臼形成不全だということを知っている方は少なく、妊娠中に体重が増えて股関節が痛くなったり、出産後の子育てで痛みが出てから気付く方もいます。
変形性股関節症と診断されても、まだ軟骨が残っているうちであれば、自分の骨を使った手術を行うこともでき、治療方法の選択肢が増えます。
股関節に重だるい症状や痛みがあれば、早目に専門医を受診し、ご自身の状態にあった治療方法を選択しましょう。
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