専門医インタビュー
滋賀県
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あまりに早くからリハビリを始めると、患部内で出血するリスクがあります。出血すると再脱臼の可能性が高まりますし、血が溜まることで感染の心配も出てきます。関節鏡視下手術、リバース型人工肩関節置換術ともに、術後1~2週間は安静にしたほうがいいでしょう。術後2~3週間くらいで、腕を固定する装具をつけたまま、理学療法士の指導のもとでリハビリを開始します。術後3~4週間で装具を外し、退院した後は、通院や自宅でリハビリを継続します。食事をする、字を書く、顔を洗うといった日常生活動作が行えるようになるには、2~3カ月程度かかると考えてください。
リバース型人工肩関節置換術後に起こる疲労骨折には注意が必要です。腱板が失われた状態では三角筋の力だけで挙上しなくてはなりません。そのため、重いものを持つ動作や肩に強い負荷のかかる運動を繰り返すと、三角筋の付け根の肩峰(けんぽう)が疲労骨折して、腕が上がらなくなることがあります。また、三角筋自体が傷んで三角筋不全を起こし、急に挙上が悪くなることもあります。特に骨粗しょう症の強い人、関節リウマチのある人、基礎疾患にステロイド薬を使用している人などは、疲労骨折を起こしやすいといわれているので、肩の使い過ぎには注意しましょう。
肩の痛みの原因はさまざまで、それぞれに治療も異なります。正確に診断してもらい、ご自身の症状に適切な治療を選択しないと、長期間疼痛や可動域制限に悩まされたり、場合によっては後遺症が残ったりすることもあります。また、適切なタイミングで治療を受けることも重要です。肩に痛みや動かしにくいなどの異常を感じたら、「歳だから仕方がない」と放置せず、まずは肩の専門医に相談してください。多くの場合は保存療法での改善が望めます。手術が適応と判断された場合でも、現在の手術療法は以前に比べて各段に進化していますし、選択肢も増えています。専門医に十分な説明を受け、納得した上で治療と向き合うことをお勧めします。
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