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専門医インタビュー

高齢女性に多い変形性股関節症 人工股関節置換など適切な治療選択を

この記事の専門医

内藤 正俊 先生

福岡県

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福岡大学名誉教授、鹿児島大学卒、医学博士、前福岡山王病院病院長、元福岡大学医学部整形外科教授、元福岡大学副学長、元福岡大学病院病院長
日本整形外科学会認定 整形外科専門医・脊椎脊髄病医、ベストドクター選出(2002~2020)

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この記事の目次

変形性股関節症と診断されたらどのような治療を行いますか?

消炎鎮痛剤(痛み止め薬)

その方の痛みの度合いや年齢・職業・生活環境などにもよりますが、体重コントロールや筋力強化と並行して、消炎鎮痛剤(痛み止め薬)で痛みを抑えながら様子をみていくこともあります。場合によっては抗炎症作用のあるステロイドを股関節内に注射することあり、また炎症がひどいために「患部に水が溜まる」と状態を引き起こすこともあり、その場合は水を抜くなとの処置を行うこともあります。
しかし、それらを長く続けていても痛みの軽減や変形に改善が見込めない場合や、治療を続けても少しずつ悪化していく場合は、手術を検討していくことになります。

骨切り術とはどのような手術ですか?

骨切り術

骨切り術

手術には、『骨切り術(こつきりじゅつ)』と『人工股関節置換術(じんこうこかんせつちかんじゅつ)』があります。
骨切り術は、被りの浅い寛骨臼の位置をずらし、骨頭を寛骨臼の一部分で支えるのではなくより広い面で支えるようにする手術です。関節の傷みが進んでいない早期に受けるのが望ましい手術なので、比較的若い世代や常日頃から活動量の多い方に向いています。
ただし、後述の人工股関節置換術(じんこうこかんせつちかんじゅつ)と比べて入院やリハビリの期間が長く、約2ヵ月を要するので、患者さんはご自身の仕事や家庭環境などに照らし合わせて決断する必要があります。日常生活に戻るまで時間がかかっても、自分の骨を残せるので、人工関節と比べて感染症などのリスクが低く、動作に制限がないことが特長です。

人工股関節置換術とはどのようなものですか?

人工股関節置換術の流れ

股関節の悪くなった部分を取り除き、金属(チタン)とポリエチレンで構成されている人工股関節に置き換えるという手術です。1960年代後半くらいから行われ始めた手術方法ですが、以前は軟骨の代わりになっているポリエチレンの強度が弱かったため60歳までの方には手術を行ってはいけないと言われていた時代もありました。しかし、技術の進化に伴いポリエチレンの強度が向上し、人工股関節の耐用年数も延びており、今では20年、それ以上の耐用性があると期待されています。ポリエチレンの性能が向上しても、人工股関節が正しい位置に挿入されていないと、耐用年数だけでなく脱臼のリスクがあがります。近年では、手術手技の向上や正しい位置に人工関節を挿入し確認する器械が向上したことにより、より正しい位置に人工関節を挿入できるようになってきました。このような手術手技や人工股関節の開発が世界的に進み、手技が安定し良好な術後成績を得られることから、人工股関節置換術は20世紀に最も成功した手術の1つともいわれています。


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