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専門医インタビュー

高齢女性に多い変形性股関節症 人工股関節置換など適切な治療選択を

内藤 正俊 先生

福岡県

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福岡大学名誉教授、鹿児島大学卒、医学博士、前福岡山王病院病院長、元福岡大学医学部整形外科教授、元福岡大学副学長、元福岡大学病院病院長
日本整形外科学会認定 整形外科専門医・脊椎脊髄病医、ベストドクター選出(2002~2020)

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この記事の目次

中高年になると、「足の付け根が痛い」「違和感がある」といった悩みを訴える人が増えていきます。その多くが加齢に伴って起こる『変形性股関節症』であり、超高齢化社会と言われる現代では増加傾向にあります。保存療法から手術療法まで治療の選択肢は様々ありますが、中でも、傷んだ股関節を人工関節に置き換える『人工股関節置換法』は有効な治療法として広く導入されています。
その詳細について、福岡中央病院・病院長の内藤正俊先生に伺いました。

寛骨臼形成不全について教えてください?

寛骨臼形成不全

寛骨臼形成不全

高齢者の股関節(こかんせつ)の疾患で代表的なものが変形性股関節症(へんけいせいこかんせつしょう)といえるでしょう。50代以上の中高年女性では非常に大きな割合を占め、高齢化とともに患者数が増えています。
その原因で最も多いのが、『寛骨臼形成不全(かんこつきゅうけいせいふぜん)【別名・臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)】』というもので、およそ90%を占めます。寛骨臼は、股関節の中で太ももの骨(大腿骨(だいたいこつ))の先端(骨頭(こっとう))を覆っている屋根にあたる部分なのですが、その被りが浅い状態を寛骨臼形成不全と呼びます。高齢になって寛骨臼形成不全になるのではなく、幼い頃から股関節がそのような形態なのですが、若い頃は痛みなどの症状を感じることは少なく、年を重ねることで筋力が落ち、股関節の軟骨が負荷に耐えられなくなって股関節の変形が進んできます。長く歩いたりした後で、鈍痛や違和感を覚えるようになり、数日経過しても治まらない状態が続くようになります。徐々に痛みや炎症が強くなり、悪化すれば歩行障害など日常生活にも支障が出るようになっていきます。これが医療機関を受診するきっかけとなり、変形性股関節症と診断されるケースがほとんどです。

大腿骨頭壊死とはどのような病気ですか?

大腿骨頭壊死

大腿骨頭壊死

大腿骨頭壊死(だいたいこっとうえし)は、大腿骨頭への血流が不足することで骨頭が壊死する病気で、変形性股関節症の原因の2番目としてあげられている難病指定の病気です。腎移植など他の疾患の治療でステロイドを大量に投与した場合やアルコールを多く飲む方で発症しやすいと考えられ男女比に差はありません。
壊死を発症しても自覚症状はあまりないのですが、壊死が進行し骨頭に『陥没変形』が起こり骨の変形などの影響が出始めると、変形性股関節症を発症し、痛みを伴うようになります。

変形性股関節症には、どのような治療法がありますか?

中殿筋

変形性股関節症の予防や進行を遅らせるには、まず肥満を避けることが重要です。
大腿骨の骨頭は直径5センチ程度ですが、人が片足で立つと、そこには体重の4倍もの負荷がかかります。仮に5kg太ると片足の股関節には20kgもの負荷が増えるということです。そのため、少しでも太らないよう体重管理を意識することが大切なのです。
また、お尻の横にあり片足立ちする時に使う中殿筋(ちゅうでんきん)を鍛えることもポイントです。お勧めなのは、プールの中を歩くというような運動法ですが、足の付け根を伸ばしたりねじったりというストレッチも効果的です。自己流で間違った運動を行うと、かえって悪化させることがあるので、専門家からの指導のものと取り組んでもらいたいと思います。


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