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専門医インタビュー

あきらめずに、外傷の専門医を探して相談を

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神奈川県

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昭和63 年北海道大学卒業、日本整形外科学会専門医、日本救急医学会専門医、日本手外科学会専門医、 日本外傷学会専門医、日本マイクロサージャリー学会評議員、日本外傷学会評議員、 AO Trauma Japan 理事、日本骨折治療学会評議員、日本重度四肢外傷研究会代表、 救急整形外傷シンポジウム(EOTS) 世話人、日本外傷整形外科セミナー(JOTS) 世話人

この記事の目次

外傷が発生した場合の治療までの流れについて教えて下さい。

緊急を要する状況化では、救急車で自分の希望とは関係なく、どこかの病院の救命救急センターや整形外科に運ばれることになります。例えば、病気にかかっていて「手術にしましょう」といわれたら、患者さんやそのご家族の方はどこの病院がいいのか、評判を調べますよね。ところが咄嗟のケガの場合は、調べる時間もなければ、調べてもどこがいいのかといった情報は出てこないのが普通です。適切な専門医がどこにいるのか、一般の人ばかりではなく、救急医療に携わる者もよくわかってないというのが現状です。

最近は「PTDの軽減」という言葉をマスコミなどで目にするようになりました。

Preventable Trauma Death(避けられた外傷死)

PTDとはPreventable Trauma Death(避けられた外傷死)の略称で、適切な救急医療を受けることができなかったために,本来であれば助かっていたはずの外傷患者が亡くなってしまうことを指します。この「死」を回避することは非常に重要なことであり、日本の外傷医療でも多くの労力が割かれていますが、「より良く生きる」「生活機能を取り戻す」「生きる苦しみを回避する」という視点からは少し遠い感じがします。
どこの病院に運ばれるかによっても、患者さんの治療後の人生が変わります。医師の腕のレベルにはかなりの差があり、後遺障害が残ることもあります。避けられた切断、感染、組織壊死、偽関節、変形治癒、関節拘縮、神経麻痺などといった、合併症も存在しています。そして現実として、外傷を受けた患者さんのうちの少なからぬパーセンテージが、「避けられた外傷後遺障害」に悩んでいらっしゃいます。外傷治療のめざすところは、できる限り後遺障害がなく、社会復帰することと言えるでしょう。

このような問題を解決するためには、どういう対策が考えられますか?

最終的外傷治療体制のあり方

まずは、既存の救命救急センターの強化です。救命センターに外傷初期治療に長けた救急医と専属の整形外科医を配置することで多発外傷患者さんの後遺障害をできる限り減らすことができる様になります。また、重度開放骨折など、より高度な整形外科スキルを要する患者さんを専門的に治療する「機能再建型外傷センター」を設置することも有効です。欧米の外傷センター並みに高度なものにするためには、かなり大きな規模であることが望まれます。多くの患者さんを多くの専門スタッフで治療することで、はじめて望ましい医療技術は伝わっていくのではないでしょうか。特に、時間的制約の多い外傷医療においては、現場の中でしか伝えられない医療技術も多々あります。

外傷治療は整形外科における最後のフロンティアだと思っています。外傷の世界は、他の病気と同じだけ深遠な難しさがあるにもかかわらず、その治療体制や教育体制はまだ確立されていません。しかし、やる気のある若い医師がたくさんおります。問題は、指導を行ったり、実際に活躍したりする場所がないことです。場所があると人も集まります。やり甲斐のある場所を作り、そこで多くの患者さんを受け入れていくことが、日本の外傷医療の発展に繋がり、ひいてはより多くの外傷患者さんの社会復帰を後押しすることになると考えています。


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