関節治療の専門医に聞いてみました!

第330回 ひざの痛みは早めに専門医に相談を治療方法だけでなく人工関節の選択肢も広がります

ドクター
プロフィール
認定資格:日本整形外科学会専門医、日本人工関節学会認定医、日本骨粗鬆症学会認定医
所属学会:日本整形外科学会、日本人工関節学会、日本骨粗鬆症学会、日本骨折治療学会、日本CAOS研究会、日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会
エリア 福岡県タグ
この記事の印刷用PDF
髙柴 賢一郎 先生

中高年が悩むひざの痛みは、主に変形性ひざ関節症です。代表的な手術は人工ひざ関節置換術ですが、使用される人工関節にさまざまなタイプがあることはあまり知られていません。今回は、福岡みらい病院 髙柴 賢一郎 先生に変形性ひざ関節症に対する治療法や前・後十字靭帯を温存できる(切除しない)人工関節、部分置換術などさまざまな人工ひざ関節置換術について伺いました。

ひざはどのような構造になっているのですか?

膝の構造

ひざを曲げたり伸ばしたりする動きは、ちょうつがいのような仕組みだと思われがちです。しかし、実は、太ももの骨(大腿骨(だいたいこつ))とすねの骨(脛骨(けいこつ))が捻じれながら動き、正座のような姿勢はひざが脱臼しているような状態になっているのです。このような複雑な動きを可能にしているのが、軟骨や半月板や靭帯(じんたい)です。軟骨や半月板はクッションの役割を果たすだけでなくひざが滑らかに動くようにし、日常動作でひざ関節に受ける荷重を分散します。また、大腿骨と脛骨をつなぐ4本の靭帯、内側側副靭帯(ないそくそくふくじんたい)、外側側副靭帯(がいそくそくふくじんたい)、前十字靭帯(ぜんじゅうじじんたい)、後十字靭帯(こうじゅうじじんたい)は、ひざの前後左右の動きを支え安定化させ、立ったり歩いたり座ったりといった動きをスムーズに行うことができます。

変形性ひざ関節症の原因や治療法にはどのような方法がありますか?

インソール

インソール

軟骨は加齢とともに劣化するため日常生活程度の負荷でも壊れていきます。症状が進むとクッション機能の低下による痛みや骨の変形が生じ、変形性ひざ関節症といわれる状態になります。また半月板損傷により軟骨が損傷したり、スポーツや外傷などで靭帯が損傷し治癒しないままスポーツなどを続けたりすることも変形性ひざ関節症の原因になります。治療には痛み止め薬の服用や関節内注射のほかにも、靴の中にインソールという装具を入れて荷重を逃がしてあげるという方法もあります。ひざに負担がかからないように体重コントロールも大切ですが、体重を落とすだけでなく、ひざを支える筋力を落とさないことも大切です。治療により痛みが軽減すると、靭帯や半月板、軟骨が「元のような健康な状態に戻った」と思う方がいるかもしれません。しかし変形性ひざ関節症によって一度損傷してしまった靭帯や半月板、軟骨は元には戻りません。ですから痛みが軽減しても「壊れてしまったひざとどのように上手に付き合っていくのか」という発想に切り替えて生活を送っていくことが重要です。

人工関節の手術はどのようなタイミングで考えたほうが良いでしょうか?

膝の曲げ伸ばし

手術の目的は痛みを軽減することです。ひざの変形の程度は関係なく、痛みや不安定性で今の生活に支障があるかないかがポイントになります。また手術は無理矢理受けるものでなく、手術を受けるかどうかを決めるのは患者さんご自身なのです。ですからひざに痛みがあっても「周囲のサポートがあって今の生活に不自由していない」と感じられるようでしたら手術の必要はないと思います。しかし、海外の研究結果では、人工関節手術で生活の活動度があがるため、心肺機能が高まって健康寿命(元気に自立して過ごせる期間)も長くなることがわかっています。ひざの痛みのせいで「旅行に行くことを諦めた」「買い物に行けなくなってきた」「スポーツを続けたいけれどできなくなってきた」と感じ、現在の状態を改善したいと思われるようでしたら、手術を検討してみても良いのではないでしょうか。


記事の一覧へ

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

ページの先頭へ