専門医インタビュー
大阪府
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怖い、痛そう、不安といったものがあり手術するのは誰でもイヤですよね。ただ、膝が痛くて「自分でトイレに行けない」「旅行に行けない」「孫の世話ができない」といったことを、患者さんご自身が治してできるようになりたいという意識が手術を希望する上で大事だと思っています。手術は痛みを改善するための手段の一つです。不安なことや分からないこと、手術を何のためにするのかということを医師と何度も何度もお話をして手術を受けるかどうかを決めていくのが良い方法ではないかと思います。
変形性膝関節症に対する代表的な手術として、人工膝関節置換術(じんこうひざかんせつちかんじゅつ)があります。具体的には、傷んだ骨の表面を削りその替わりに特殊な合金とポリエチレンに置き換えるという方法です。悪くなっている部分を取り除き人工物に置き換えるため、痛みが軽減しO脚やX脚のような脚全体の変形も改善します。
現在の人工関節のもととなっている方法は、約80年前のイギリスで開発されました。それ以来、手術方法や人工関節の進歩、リハビリが確立してきたことにより世界中に広がり、今では年間約100万人もの方が手術を受けるようになっています。しかし以前の人工関節は、あまり長期の耐久性が期待できず「10年しか保たない」と言われていた頃もあり、また今でもそのように思われている方もいます。そのためできるだけ手術を先延ばしにするということが一般的でしたが、最近は、人工関節の材質や形状の改良や手術方法が以前よりも進歩したことにより30~40年程度の耐久性があると言われ比較的若い方にも手術を行います。
全置換術(左)と部分置換術(右)
人工膝関節置換術には、その方の変形状態によって全置換術と部分置換術があります。骨の変形や軟骨などの損傷がひどい場合は、膝関節の表面全てを人工関節に置き換える「全置換術」ですが、膝の外側か内側、どちらか一方だけが傷んでいる場合は、傷んだ部分だけを部分的に置き換える「部分置換術」を行う場合があります。
部分置換術は、変形性膝関節症では、変形が中程度~末期の症状で靭帯に異常がなく反対側の軟骨のすり減りがないなどの場合や大腿骨内顆骨壊死で適応になりますが、将来的に反対側の部分など正常な軟骨に損傷が出てくると、全置換術を行ったり反対側にも部分置換術を行うことがあります。
以前の部分置換術は、長期成績があまり芳しくなかったのですが、手術方法や使用される人工関節の改良により、全置換術と同程度の長期成績が期待できるようになっています。多くの全置換術では、前十字靭帯(ぜんじゅうじじんたい)を切離し代りに人工関節がその機能の役割を担います。しかし、部分置換術は前十字靭帯が温存できるので膝がより安定するだけでなく、全置換術に比べると骨を切る量など身体への侵襲が少なく膝の多くの組織を残せるので、より自然な膝の動きを獲得しやすいのが特徴です。
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