専門医インタビュー
静岡県
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どうして自分だけ股関節がすり減ってしまったんだろうか、と悩まれている方もおられます。しかし、平均寿命が延びた結果、膝だけでなく股関節の軟骨がすり減る方も多くなり、多くの方が股関節の痛みで悩んでおられます。また、代表的な手術である人工股関節置換術(じんこうこかんせつちかんじゅつ)は、国内で7万例ほど行われる、整形外科では一般的に行われる治療になっています。
治療方法が一般的になったからといって、手術は嫌々受けるものでも、無理に受けるものでもありません。ですが股関節が痛くて、脚を引きずるようにして歩くようであれば、検討したほうが良いと思います。手術を希望される方には、お孫さんやご家族の世話をしないといけない、他の方とウォーキングやスポーツを行いたいからとさまざまな理由で希望される方もおられます。痛みのせいで日常生活に支障が出たり、痛くてやりたいことができず、手術で痛みを改善できるのではと思われたら、手術を検討してみても良いのではないでしょうか。
骨切り術
骨(こつ)切り術は、まだ軟骨がしっかりしている方が対象になり、骨盤側や大腿骨の骨を切り、角度を変え痛みが出ないようにする手術です。ご自身の関節が温存できるので、術後の行動制限はありませんが、骨を切る手術なので、年齢が50歳を過ぎると骨が癒合しにくく、筋力の低下を招くことがあるので、あまり高齢の方にはお勧めできません。また、骨が癒合し社会復帰できるまでに、数ケ月程度かかることがあります。そのため、入院やリハビリにどのくらいの期間を許容できるのかという課題もあります。
人工股関節置換術
人工股関節置換術は、悪くなった部分を取り除き人工関節に置き換える手術ですが、近年では、なるべく筋肉を切らない低侵襲の手術が増えてきています。しかし、低侵襲にこだわり過ぎて、人工関節が不適切な位置に設置されると、術後の脱臼リスクなどが高まります。そのため、まずは人工関節を正しく設置することが重要で、きちんとした位置に設置できれば、脱臼の可能性が極めて少なくなるだけでなく、人工関節の耐久性にも影響します。脱臼リスクをできるだけ低減させるために、手術中にレントゲン装置を使い人工関節が正しく設置されているかを確認するだけでなく、手術を終える前に、実際に患者さんの脚を色々な方向に動かし、脱臼しないことを確認します。
以前は、ポリエチレンが摩耗しやすく人工関節の耐用年数は15年程度と言われ、ある一定の年齢までは手術をしてはいけないと言われていました。しかし最近では、使用されるポリエチレンの性能が、以前より大幅に向上し、摩耗が減ってきているので、20年、それ以上の耐久性が期待されています。耐久性が飛躍的に向上したため、若い方でも人工関節の手術を希望されている方が増えています。
手術前から手術翌日まで硬膜外麻酔を使い、痛みが強い時期をできるだけ緩和するようにします。また手術中に、人工関節を挿入した周囲の組織に炎症や痛みを和らげる薬を注射し、くわえて手術後は痛み止めの薬の内服や点滴を行います。現在は、さまざまな麻酔方法だけでなく、痛み止めの薬にも色々な種類があるので、それらをうまく効果的に組合せ、痛みを軽減させる方法がとられています。以前と比べ手術後に痛みを感じにくく、リハビリがスムーズに進みやすくなっています。
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