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専門医インタビュー

股関節の痛み 原因はさまざまです ご自分の状態を知るために専門医にご相談を

この記事の専門医

松本 研二 先生

京都府

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日本整形外科学会認定 整形外科専門医

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この記事の目次

骨切り術や人工股関節置換術について詳しく教えてください

骨切り術

骨切り術

比較的年齢が若く軟骨がまだ残っている方には、骨(こつ)切り術が行われることがあります。骨切り術は、骨盤側の臼蓋や大腿骨の骨を切り、形を整える手術で、痛みを軽減させご自身の関節が温存できる手術です。骨を切る手術なので、骨が癒合し日常生活が問題なく行えるようになるまで2~3ケ月程度かかります。しかし、ご自身の関節が温存できるので、日常生活だけでなくスポーツなどの制限はありませんが、将来、変形性股関節症が進行すると、人工関節の手術が必要になる可能性があります。
軟骨がすり減り、骨の変形が進行し痛みがある場合には、人工股関節置換術が行われます。人工関節の手術は、傷んだ部分を取り除き、股関節を新たに人工の物に置き換える手術です。手術方法や人工関節の進歩により、骨切り術に比べ社会復帰できる期間は早くなります。

骨切り術や人工股関節置換術にはどのような合併症があるのでしょうか?

人工股関節置換術

人工股関節置換術

代表的な合併症として、出血や感染症といった合併症が生じる場合があります。しかし、手術中だけでなく、手術前や手術後にさまざまな取り組みを行い、合併症をできるだけ発生しないよう予防します。手術後に輸血が必要になる場合があります。手術前、複数回に分けご自身の血液を採血しそれを貯めておきます(自己血貯血)。もしも輸血が必要になった場合はその血液を使用しますが、できるだけ輸血の必要がないように、手術方法や薬剤を工夫し出血量を減らす取り組みがされています。
感染症は、どの手術にもおこりうる合併症の一つですが、特に人工関節の手術では、十分な注意が必要です。手術は、空気中に浮遊する微粒子などの数が一定レベル以下で管理されたクリーンルームで行われ、さらに手術を行う医師は全身を覆う特殊な手術着を着用し手術を行います。感染症は手術中よりも、むしろ退院してしばらくたってからのほうが多いと言われています。風邪をこじらせ肺炎になったり、歯周病など患者さんが持っている菌によって人工関節が感染することがあります。手術前だけでなく、退院してからも感染症の原因になるような病気になれば、そのまま放置せず早めに治療するようにしましょう。

人工股関節置換術は進歩しているのでしょうか?

前方アブローチ

手術前に必ず一人ずつの設計図を作るのですが、最近はレントゲンやCT画像をコンピューター上で見れるようになり、コンピューター上で設計図を作成する先生も多いと思います。たくさんの画像情報を参考にすることができ、画像を3D化し確認できるようにもなっていますので、以前よりも精密な計画が立てられます。正確な設計図ができ、その設計図通り正確に手術できれば、長期間の耐用性と人工関節の機能をより発揮しやすくなることにもつながってくると思います。
従来は、股関節の後ろ側の筋肉を大きく切り手術が行われていました。しかし、後ろ側の筋肉を大きく切ると、どうしても人工関節が後ろ側に外れやすく、禁止される動作の制限が多くありました。最近では、手術方法の進歩やこれまでのデータ蓄積により、手術の際に皮膚を切開する大きさがより小さくなっているだけでなく、できるだけ筋肉を切らない、できるだけ患者さんの身体に負担をかけない手術方法で行われるようになっています。また股関節へ到達する方法も進歩しており、前方から侵入する手術では、股関節後ろ側の筋肉が温存でき、脱臼発生の軽減だけでなく、筋肉を切らないので術後の痛みも軽減でき、早期社会復帰が可能となっています。


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