関節治療の専門医に聞いてみました!

第363回 膝の痛みや悩みはお気軽に専門医にご相談を人工関節の手術など治療方法が増えています

ドクター
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日本整形外科学会専門医、日本人工関節学会認定医、日本整形外科学会認定スポーツ医、日本整形外科学会認定リウマチ医、日本整形外科学会認定リハビリテーション医
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樋口 哲生 先生

 
人工膝関節置換術は、色々なインプラントや治療法からご自身に適したものが選択できるようになり、できるだけ身体に負担の少ない手術が行われているようです。また、術後の痛みを軽減するために、様々な麻酔方法や痛み止めなどを組合せ効果的な方法が考案されています。今回は、上山病院 樋口哲生先生に、人工膝関節手術の詳細などについてうかがいました。
 

変形性膝関節症、大腿骨内顆骨壊死とはどのような疾患でしょうか?

大腿骨内顆骨壊死

大腿骨内顆骨壊死

変形性膝関節症は、膝関節の軟骨がすり減り、進行すれば骨同士がぶつかるようになり、周辺の知覚神経を刺激して痛みがでる疾患です。特に中高年の方で膝に痛みがある場合は、圧倒的に多い疾患です。日本人の場合、男性よりも女性に多いのが特徴で、早ければ50-60代くらいから痛みが出てきます。
初期の段階では、歩き始めなど、運動を始める時に痛みが生じるのが特徴です。また、軟骨がなくなっている部分では衝撃が加わりやすくなり、時に微細な骨折が生じることがあります。そうすると、骨の内部構造が破綻し、血流が閉ざされ骨が壊死(えし)を起こす、大腿骨内顆骨壊死(だいたいこつないかこつえし)につながることがあります。

変形性膝関節症と診断された場合、どのような治療を受けるのでしょうか?

寝た状態で片膝を立て、もう片方の脚をまっすぐに伸ばし床から上げて止めるトレーニング

初期の段階であれば、痛み止め薬や湿布などを使用します。また、膝に負担をかけないように、深くしゃがみ込まない、正座はしないといった日常生活の改善で進行の予防に努めます。治療の中で、特に運動療法は大切です。しかし健康のためには動かないといけない、とやみくもに思っている方が多いのです。傷ついた軟骨は元に戻らず、間違った方法で運動をすると余計に悪化するので、軟骨を傷めないように筋肉だけを鍛えるトレーニングやストレッチを行います。寝た状態で片膝を立て、もう片方の脚をまっすぐに伸ばし床から上げて止めるトレーニングや、スクワットならば脚を肩幅と同じくらいに開き少し中腰になるように膝を軽く曲げ、その状態を数秒間維持するといった方法です。ストレッチであれば、イスに座り脚を伸ばして上げます。その際に、足首を反らすように立てます。足首を曲げると膝が伸びにくくなりますが、膝裏のストレッチだけでなく、しっかりと膝を伸ばすトレーニングにもなります。このような、寝た状態や座ってもできる簡単なトレーニングを行います。ただし、毎日続けていかないと効果は少ないので継続し習慣化させることが大切です。

手術を受けるメリットにはどのようなことが考えられますか? 持病があっても、高齢であっても手術を受けることはできますか?

ヒアルロン酸注射

ヒアルロン酸注射

まず手術がしたくない方に、手術を無理矢理に勧めることはありません。しかし、色々な治療を行っても効果がみられない場合、例えば、ヒアルロン酸注射であればいつまでも漫然と打ち続けるのではなく、5回、10回と回数を決め治療しても効果がみられない場合には、手術を検討しても良いのではないでしょうか。
手術を受けるメリットとしては、痛みが軽減することによって歩けるようになれば、活動範囲が広がるとともに生活の質(QOL)が改善します。また、運動をすることで心肺機能の改善などの効果も期待でき、糖尿病の方の運動療法も行いやすくなります。医療技術などの進歩によって、現在は、持病があっても、高齢の方でも手術を受けられる方が多くなりました。もう80歳だから、90歳だから手術を受けることはできない、という時代ではありません。現在は人生100年時代と言われるほど超高齢化社会となっており、手術を受けご自身で活動できるようになり健康寿命を延ばすことは大きな意義があると思います。


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