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専門医インタビュー

歳だから、持病があるからと諦めないでください 膝の治療は進歩しておりさまざまな治療法があります

この記事の専門医

井上 和正 先生

愛媛県

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専門:関節外科
学会認定:日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会スポーツ医、日本整形外科学会リウマチ医、日本リハビリテーション医学会臨床認定医、日本スポーツ協会スポーツドクター
所属学会:日本整形外科学会、日本リハビリテーション医学会、JOSKAS(日本関節鏡・膝・スポーツ医学会)、ISAKOS(国際関節鏡・膝・スポーツ医学会)アクティブメンバー、日本人工関節学会、四国地区膝骨切り研究会(世話人)

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この記事の目次

高齢で持病があっても手術を受けることはできるのでしょうか?

ご高齢で持病があっても、事前に手術を行って大丈夫か、麻酔を行っても大丈夫かということを、内科や麻酔科など他科の医師と連携し、きちんと評価して問題なければ90歳を超える高齢の方であっても手術を行うことがあります。また、問題となる持病を先に治療してから人工関節などの手術を行うこともあるので、年齢や持病が原因で手術を受けられない方はほとんどおられません。もう歳だから、持病があるからと治療を受けることを諦めず、医師にしっかり相談して、ご自身が希望される生活が送れる治療法を選択していただきたいと思います。

骨切り術とはどのような手術ですか?

骨切り術の一例

骨切り術の一例

太もももの骨(大腿骨)とすねの骨(脛骨)が接する膝関節面は、内側と外側の2か所で体重を受け止める構造になっています。そのどちらか一方だけが傷んでいる場合に、脛骨や大腿骨を切り、脚の形を変えて荷重がかかる部分を変える骨(こつ)切り術が行わることがあります。最近の骨切り術は様々な方法があり、脛骨だけを矯正する方法だけでなく、大腿骨のみの矯正や脛骨と大腿骨も矯正する骨切り術など、一言に骨切り術と言ってもその手術方法は10種類以上あり、患者さんの状態に合わせて適切な方法を選択します。骨を切った部分は一時的に金属でできた板状のプレートで固定しますが、骨癒合が得られたら抜去します。
以前は退院までかなり期間が必要だったのですが、現在は、プレートが進歩したおかげで強力に骨を固定できるようになり、早期に脚に体重をかけられ、入院期間も短くなりました。骨切り術は、体内に人工物を残すことなく膝関節を温存できるので、マラソンやジャンプをともなう激しいスポーツを行いたい方に向いている手術だと思います。また、深く膝を曲げることが期待できるので、正座をすることの多い日本舞踊や茶道をしている方、農作業などしゃがむ作業をすることの多い方にも良い治療法だと思います。

人工膝関節の手術について教えてください

人工関節と聞くと、膝がロボットのようになるのではと思われるかもしれませんが、表面置換型と言って、傷んでしまった骨の表面を削り、削ったのと同じくらいの厚みの人工関節を骨の表面に被せ痛みを軽減させる手術です。現在の人工関節の手術は、できるだけ患者さんに負担をかけず安全な方法で行われるようになっています。以前は、手術中かなり出血することがあり、輸血が必要な場合がありました。しかし、手術方法の進歩や出血を抑える薬剤の使用などで出血量が大幅に減り、ほとんどの場合は輸血の必要がありません。人工関節手術の合併症のひとつに感染症があります。感染症は、皮膚病やちくのう症など患者さんの身体の中にある菌が、血流を介して人工関節に付着することがあります。そのため、感染症を引き起こす可能性があれば、事前に治療を行ってから人工関節の手術を行い、また抗生剤を混ぜた医療用のセメントを使用するなど、様々な取り組みを行って感染症を予防します。人工関節の手術、骨切り術ともに術後の痛みをコントロールする技術も進歩しています。「マルチモーダル疼痛管理」といって、神経ブロックや消炎鎮痛剤など色々な薬や方法を組合せた疼痛管理が定着してきており、術後の痛みは大分楽になっていると思います。

人工膝関節全置換術の流れ
人工膝関節全置換術の流れ

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