膝の痛みだけでなく困っていることや悩みは気軽に専門に相談しより良い解決策を探しましょう

人工関節の手術はどのようなタイミングで考えたほうが良いでしょうか?

痛みが軽減しないと行動範囲が狭まり、動かなかい状態が続くと心肺機能に影響を与えることがあります。また、糖尿病の方は歩くことができないと、運動療法が行えないなど、整形外科領域だけでなく、内科的にも悪影響を及ぼします。痛みが軽減し運動することができれば、心肺機能が鍛えられるだけでなく、自分の好きな所へ行けるので精神的な苦痛も減り、糖尿病の運動療法が行えます。そのため、膝の痛みのせいで、買い物に行きにくい、外に出にくいなど日常生活で不自由を感じたら手術を考えるタイミングだと思います。また、膝の変形が進むと筋力の衰えや、膝以外の部分に負担がかかり足首や腰などの変形が進むことがあります。筋力が弱っているとリハビリにかなり時間がかかるので筋力が衰える前に、他の部分が悪くなる前に、治療を考えてみても良いと思います。

人工関節の手術を受けられない方はいるのでしょうか?

糖尿病の方でも、手術までに血糖値をコントロールできれば手術を受けることができ、心臓にステントが入っている方でも、内科の医師と相談しながらタイミングをみて手術を行うことができます。手術前の全身検査で問題が見つかると、手術を受けることができない場合がありますが、内科など他科と連携し、手術を受けても問題なしと判断されれば手術を受けることができます。最近は、元気な高齢者が増え、もっと歩きたいと希望される80代後半の方でも手術を行うことが増えています。手術を受けるのに年齢は関係なく、歳のせいとあきらめずに、ご本人が歩きたいという希望があれば手術受けることができます。

レスパイト入院について教えてください

色々な事情で、手術を受けたくても受けられない方がおられます。なかには、旦那さんや奥さん、親の介護を行わいといけないので、家を空けることができず、手術を受けることができない方もおられます。そのような場合、介護を受けている方に一時的に入院していただき、その間に手術を受けるというレスパイト入院を利用することができます。レスパイト入院というのは、自宅療養中の方に一時的に入院していただくことにより、介護している方に休息をとってもらったり、急な病気やけがになどに対応したりする仕組みです。手術を受ける年代も上がってきており、老々介護など色々な問題も出てきています。病気の相談だけでなく、ご自身の環境やご家庭のことなど色々なことを医師に相談することで、より良い解決方法が見つかってくると思います。

人工関節は進歩してきているのでしょうか?

人工膝関節置換術

人工関節の手術は、脚の形が改善し、痛みが軽減することが大きなメリットです。以前は、人工関節で使用されるポリエチレンの耐久性の問題で、60歳以上でないと手術を受けてはいけないという時代もありました。しかし、使用される素材の改良により耐久性が飛躍的に延び、1mm刻みでのサイズ選択ができ、更に日本人向けに開発されたデザインが登場し、より元の膝の形に近い手術ができるようになっています。しかし、耐久性が延びたと言っても、40代、50代など活動性の高い方だと、ポリエチレンの摩耗によって人工関節の入れ替え手術が必要になる可能性があります。ただし、今を歩きたいという目標がある場合、そのリスクを十分に理解した上で、若い方でも手術を希望されることがあります。