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専門医インタビュー

ひざの痛み我慢せず、適切なケアで改善を目指しましょう

この記事の専門医

尾島 朋宏 先生
  • 尾島 朋宏 先生
  • 福井総合病院 リウマチ科部長、整形外科
  • 0776-59-1300

福井県

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資格:日本リウマチ学会リウマチ専門医・指導医・評議員、日本整形外科学会整形外科専門医、日本リウマチ財団リウマチ登録医、日本人工関節学会認定医・評議員、日本スポーツ協会公認スポーツドクター
専門分野:リウマチ、関節外科

この記事の目次

変形性膝関節症の治療には、どのようなものがありますか?

ヒアルロン酸注射

ヒアルロン酸注射

痛みを和らげ、変形が進行しないよう維持する方法として、まずは手術以外の方法(保存療法)から行うのが一般的です。まず運動療法として、太もも前面の筋肉である大腿四頭筋の訓練や水中歩行訓練など、正しくひざを動かすことで痛みの軽減を目指します。またひざの負担を減らすため、体重のコントロールも必要です。そのほか、薬の服用、関節内へのヒアルロン酸注射、O脚の場合にひざの外側へ荷重を逃がすよう調整するインソール(靴の中敷き)を使用する場合もあります。
運動器の病気は、糖尿病、高血圧やリウマチと違い、検査値で治療効果を評価することが困難です。したがって、患者さんが「どれくらい痛みを感じるか」に委ねられています。また「痛みの感じ方」も人によってさまざまなため、同じ治療を受けても満足度は異なります。そのため、患者さんと医師がよく話し合い、それぞれに合った治療を選択することが求められます。

手術を考慮すべきタイミングはありますか?

日常生活に困る痛み

保存療法を続けても症状が改善せず、日常生活に困っている場合には、手術が選択肢となります。しかし、手術を決断するのは患者さん自身です。痛みの程度と、日常生活にどれくらい困っているかを考えながら、検討していきましょう。変形がそこまで進んでいなくても、趣味を続けたいから、と手術を決断されるケースもあります。一方で、変形が重度の場合であっても、日常生活に支障がなければ、保存療法で様子をみる方もいらっしゃいます。
強い痛みが生じたときに検査を行うと、変形性膝関節症が進行するサインが認められることが多いです。そのような場合に、患者さんに手術という選択肢がある、ということをお伝えしています。

変形性膝関節症が進行するサインとは、どのような状態ですか?

正常半月板と半月板逸脱

「半月板逸脱」(はんげつばんいつだつ)、「骨髄浮腫」(こつずいふしゅ)、「脛骨内反(O脚の進行)」(けいこつないはん)などがあります。半月板は、関節の中でひざにかかる荷重を分散したり、衝撃を吸収したりする組織です。その半月板が何らかの原因で、関節から外れてしまうことを半月板逸脱といいます。骨髄浮腫は、骨の内部にある骨髄という部分に炎症が起きる状態です。半月板逸脱と骨髄浮腫は強い痛み・腫れをともない、これらがきっかけとなって微小な骨折(軟骨下脆弱性骨折)が生じたり、骨の一部が壊死することで、変形性膝関節症が急速に進行する場合があります。また脛骨内反とは、脛骨(すねの骨)が内側に傾いている状態です。生まれつき内側に傾いている方は加齢とともにO脚になりやすく、変形が進行しやすいといわれています。これらの所見がみられる場合には、手術が選択されることが多いです。

変形性膝関節症の手術方法には、どのようなものがありますか?

人工膝関節置換術

人工膝関節置換術

骨切り術

骨切り術

変形が内側だけに限定されていて靭帯の状態もよく、手術後もスポーツなどの活動を行いたいと希望される患者さんに対しては、「骨切り術」(こつきりじゅつ)が実施されています。これは、脛骨の一部を切って広げることで関節の向きを調整する手術です。内側にかかっていた荷重が外側に移動されることで痛みの軽減が期待できます。関節軟骨を温存できるため、手術後の動作制限が少なく、活動性の高い方に向いています。
変形が強く、痛みを早く取りたい方には「人工膝関節置換術」が多く行われています。関節の傷んでいる部分を切除して金属やポリエチレンでできた人工関節に置き換える手術です。
関節全体を置き換える全置換術、片側のみを置き換える部分置換術があります。痛みの原因となる部分が人工関節に置き換わるため、大きな除痛効果を期待することができます。


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