専門医インタビュー
股関節が痛くて子育てができない、運動をしたいからなど手術を希望される理由はひとそれぞれです。手術を受けるかどうかは患者さんご自身が決めますが、変形性股関節症は、癌など命に関わる病気ではないので、無理に手術を受ける必要はありません。代表的な手術に人工股関節置換術があります。手術によって痛みが軽減するというメリットが期待できますが、将来的に人工関節の入れ替え手術が必要になる可能性や、感染症など合併症のリスクなどがあるので、メリットだけでなくデメリットも含め考えた上で、手術を受けると良いでしょう。
持病があっても手術を受けられる場合もあります。しかし、中には心臓や腎臓、肝臓などに疾患があり、手術を受けられない場合は、先に心臓などの治療を行ってから変形性股関節症の手術を行うことがあります。また、ステロイドを飲んでいて免疫力が低下している方や、アトピー性皮膚炎の方は感染症のリスクが高まるので注意が必要です。
高齢でも手術を行うことがありますが、高齢になるほど骨が弱くなり手術時に骨折するなどリスクが高くなることがあります。また、筋力が弱っていると手術後のリハビリの時に回復するまで時間がかかりやすくなったり、脱臼したりする確率が上がります。
人工股関節置換術
変形性股関節症が進行期や末期の状態で、痛みで日常生活が制限される場合、傷んだ部分の股関節を金属などでできた人工関節に置き換える人工股関節置換術を行うことがあります。
これまでの研究から人工関節をどの位置に設置すれば良いかが分かってきており、また、以前と比べて、事前に行う手術の計画によって、人工関節の設置精度をかなり高められるようになっています。かつてはレントゲン画像をもとに二次元で人工関節の大きさや、設置する場所などの計画を立てていました。しかし、現在は患者さんのCT 画像から三次元の骨のモデルをパソコン上で作成し、どのくらいのサイズの人工関節をどこに設置すれば良いかが分かり、それを再現する機器も進歩しているので正確に人工関節を設置できるようになっています。また、筋肉や腱を切らず組織を温存できる手術が行えるようになっており、術後の脱臼予防や痛みの軽減にもつながっています。
三次元の骨モデル
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