専門医インタビュー
手術後に動かないと筋力がどんどん落ちてしまいますので、骨切り術、人工股関節置換術どちらも手術の翌日からリハビリが始まります。
骨切り術後は、骨がくっつくまでは足にしっかり体重をかけられないので、松葉杖を使って片脚でトイレに行ったり、ベッドから車椅子に移ったりという練習から始めます。ある程度日数が経ってから、体重の1/3くらいかけ足を着くことから始めて、段階的に体重をかけられるようにしていきます。入院期間は1カ月程度になることが多いですが、松葉杖を使うのが上手な方はもう少し早めに退院されることがあります。
人工股関節手術の場合は、翌日から全体重をかけて歩く練習をします。その後に、入浴や階段を歩く練習など日常生活を一人で行えるようリハビリを行っていきます。
骨切り術を受けた方は、自己流のリハビリを行うと股関節に過度な負荷をかけますので、きちんと医師や理学療法士に指導されたリハビリを行うようにしてください。人工関節の手術を受けた方の場合、筋力を落とさないためにスクワットや、中殿筋を鍛えるために横になって足を上下に動かす運動を行っていただくことがありますが、退院後の日常生活をしっかりと行うことがリハビリにつながります。退院時に杖を使わなくて歩けても、転倒のリスクがあるので1ケ月くらいは温泉に入るのは控えましょう。
手術前に口腔内の検査を行い、虫歯などが見つかれば感染症の原因になるので、あらかじめ口腔内の治療を行ってから手術を行います。手術後も口腔内にある病気が原因となり、感染症を引き起こす可能性があるだけでなく、口腔内が清潔に保たれていないと骨粗しょう症の治療を行うことができません。日常生活に戻ってからも、歯みがきをしっかり行い口腔内を清潔に保つようにしましょう。また、人工関節やその周辺で異変が起きていても、初期の場合はなかなか気づくことができません。どんなに調子が良くても、生涯に渡って経過観察が必要になるので、定期的な受診を忘れないようにしてください。
股関節が痛くなる疾患は色々ありますが、まずは痛みの原因を把握することが重要です。変形性股関節症と診断された場合、基本的には保存療法を行いますが、症状の改善が難しい場合には人工股関節置換術などの手術が適応となることがあります。最近は、人工股関節そのものの進化や手術方法が進歩しており、より安全に手術が行え、入院期間も短くなってきています。痛みに悩んでいるようでしたら、我慢せずにお近くの整形外科を受診することをお勧めします。
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