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専門医インタビュー

変形性膝関節症にはロボット支援手術など治療方法が進歩しています 膝の痛みは専門医にご相談を

この記事の専門医

平野 文崇 先生

福岡県

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日本整形外科学会認定整形外科専門医、日本整形外科学会認定リウマチ医、日本整形外科学会認定スポーツ医、日本人工関節学会認定医

この記事の目次

高位脛骨骨切り術とはどのような手術方法なのですか?

高位脛骨骨切り術

高位脛骨骨切り術

変形性膝関節症に対して代表的な手術は、「高位脛骨骨切り術(こういけいこつこつきりじゅつ)」と「人工膝関節置換術」があります。どちらの手術方法が適切なのかは、事前に、患者さんの仕事や趣味、生活様式などをしっかり伺い、患者さんの膝の状態を考慮し、より適切な手術方法を選択します。
変形性膝関節症は多くの場合、脚の形がO脚に変形することで膝関節の内側から損傷し始め、その後、外側など全体に広がっていくという傾向があります。高位脛骨骨切り術は、まだ傷んでいる部分が内側のみに限定される、グレードⅡ~Ⅲの方に適した手術です。手術はすねの骨(脛骨:けいこつ)に切り込みを入れ、骨の角度を矯正することで痛みを軽減させます。ご自分の関節が温存できるので膝の機能が維持でき、人工膝関節置換術よりも術後の制限が少ないので、スポーツをされる方や日頃活動性の高い生活を送られる60代くらいまでの方に向いていると思います。

「人工膝関節置換術」について教えてください

人工膝関節部分置換術(左)と全置換術(右)

人工膝関節部分置換術(左)と
全置換術(右)

人工膝関節置換術は、現在、変形性膝関節症の手術で最も多く行われている手術法です。膝関節全体を入れ換える手術ではなく、痛みの原因であるすり減った軟骨と傷んだ骨の表面部分を切除して、金属やポリエチレンなどでできた人工の関節に置き換える手術です。痛みの大きな改善と、早期の回復が期待できる治療法です。人工膝関節置換術には、内側だけを換える部分置換術と全てを置き換える全置換術があります。部分置換術は進行のグレードがⅡ~Ⅲ、全置換はⅢ~Ⅳの方が対象と考えられます。部分置換術は、膝全体を置換する全置換術と比べて小さな人工関節を使用するので、骨を削る量や手術による傷も小さく、より早期の回復が望めます。
膝の変形が内側だけの場合は、「高位脛骨骨切り術」と「部分置換術」、どちらでも行えるケースが少なくありません。その場合、患者さんの年齢や関節の状態、趣味や日常での活動性など様々なことを考慮して、患者さんが納得される手術方法を選択するようにします。

人工膝関節置換術で行われる「ロボット支援手術」とはどのようなものですか?

ロボット支援と言っても、人型のロボットが手術を手伝うというわけではありません。手術を行う前に予め患者さんのX線写真、身長や体重など様々なデータを元に仮想の膝を作成。どのように骨を切れば良いかというプランを支援ロボットにセッティングします。事前に作成したプランに沿って、ロボットアームと言われる装置が骨を正確に切れるよう誘導・補助してくれたり、術中の関節の「きつい」とか「ゆるい」とかの状態を数値化してくれたりします。もちろん術者の感触・感覚も加味して、術中に微調整することは可能です。

「ロボット支援手術」にはどのようなことが期待されているでしょうか?

支援ロボットのイメージ

支援ロボットのイメージ

まず従来の手術方法だと、たとえ熟練の医師が執刀しても、人の目に頼るとどうしても数ミリ数度程度の誤差が生じることがありました。そこで「ナビゲーションシステム」と呼ばれる技術開発が進み、多くの実績を残してきました。ナビゲーションシステムは、骨を切る場所などを的確に示してくれる機能を持っていますが、デバイス等の固定はマニュアル作業が入り、そこにわずかですが誤差が生じえました。しかしロボット支援手術の場合、その誤差は角度0.5度、長さ0.5ミリと言われ、さらに誤差が減少しています。
従来以上に正確な人工膝関節の設置が可能ということは、長期成績や臨床成績が向上する可能性もありますし、手術の安全性も少なからず高まったと考えられます。さらにその情報を、治療に携わっている複数の医師やスタッフの間でも共有されるということもメリットだと思います。


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