専門医インタビュー
福岡県
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患者さんが手術を迷う大きな理由の一つに「痛いのが怖い」という不安や恐れがあると思います。しかし、近年は痛みを抑える、コントロールするという技術が以前よりも格段に進歩しています。
手術中は、麻酔科医によって「神経ブロック注射」と言う、神経やその周辺に局所麻酔薬を注射し、痛みの伝わる経路(神経)をブロックし、痛みを抑えます。さらに、手術を終える前に、「多剤カクテル注射」と呼ばれる、消炎鎮痛剤やステロイドなど複数の薬を組み合わせたものを、人工膝関節が入っている周りの組織に注射し術後の痛みを抑えます。また、飲んだり、点滴したりする痛み止めの種類は以前よりもかなり増えており、それらを複数効果的に組み合わせ使用します。このような方法を組み合わせることで、ほとんどの方は手術当日でも強い痛みを回避できるようになっています。
手術の翌日から車椅子に移ったり歩行器を使用したりしながらリハビリを始めていきます。神経ブロックの効果は時間の経過とともになくなっていきますが、翌日は、まだ効果が続いていることがあるので、それに注意しながら行います。身体につながれていた管などが外れてくれば、歩行練習や可動域、筋力トレーニングなどのリハビリがより積極的に行えるようになり、早い方では1週間程度で杖を使わずに歩ける方もおられます。
入院期間中は積極的に膝の曲げ伸ばしの練習を行いますが、ご自宅に帰ると入院期間中よりも曲げ伸ばしできる角度が悪くなっている方がおられます。退院してからリハビリを行わなかったり、膝を動かさないでいたりすると膝が固くなり、曲げ伸ばしに影響を与えます。せっかく手術を受けたのですから、ご自身がやりたいことをするためにも、ご自分でできるリハビリや運動などは継続していただきたいと思います。
スポーツは、ウォーキングや水泳はお勧めですし、ゴルフやダブルスのテニスなどを行っている方もおられます。ただし、稀に、転倒によって人工膝関節周囲の骨が折れてしまったという報告もあるので、転ばないようにお気を付けください。
現在、人工膝関節置換術を受け15年が経過した場合でも、95パーセントの方が問題なく生活できているという報告がありますが、技術や手術方法の向上によって、これ以上に長く安定した成績が見込まれると思います。
治療の方法については様々な選択肢があるので、まずは少しでも早い段階で整形外科を受診されることをお勧めします。私自身、膝の手術を経験しましたが、想像以上に疼痛管理が徹底していることを実感しました。膝に痛みがあれば、お気軽に専門医にご相談ください。
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