専門医インタビュー
兵庫県
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歩ける膝を作るのが、人工膝関節置換術を行う大きな目的です。要介護者になり車椅子生活になるのを避け、日常生活に必要な動きがスムーズにできるようにするための手段です。実際に術後は、多くの方が痛みなく日常生活を送っています。これまで行くことのできなかった旅行に出かけたり、ゴルフができるようになったりする人もいます。人工膝関節置換術は、適切な診断を受け、きちん技量を持った医師が手術を行えば、ほとんどのケースで症状の改善が期待される安定した手術です。ただ、手術を受けた方全員が、痛みが全くなくなり若い頃のように自由に膝を曲げ伸ばしできるようになるかというと、そうではありません。もともと周囲の軟部組織が硬い人は、術後に強く曲げれば痛みが出ることもあるでしょうし、動きに制限が残る場合もあります。また、靱帯まで取り換えるわけではないため、1割くらいの人は膝に違和感が残ることになるのではないでしょうか。
普段の生活に戻ったとき、満足感のない手術は意味がありません。人工膝関節置換術の効果をより発揮するためには、症状が悪化する前に手術をする必要があります。具体的には、軟部組織の拘縮がひどくならないうちに手術をした方が良いでしょう。主治医と時間をかけて十分に話し合った上で、人工膝関節置換術を選んでください。
リハビリルームの風景
術後は院内でリハビリを行い、普通に歩けるようになれば退院となります。リハビリには痛みが付き物ですが、これは固まった膝を軟らかくするために必要な痛みです。膝を自由に曲げ伸ばしできるようになるためには、十分に時間をかけてストレッチをする必要がありますが、固まった関節を伸ばす際には、どうしても痛みが伴います。退院後は、できるだけ外出して歩き、膝を曲げる運動も続けて下さい。特に、自転車をこぐ動きが膝関節を軟らかくするため、自転車こぎを勧めています。術後は、十分に身体を動かして、体重を適切にコントロールするようお願いします。
主に術後のリスクとして考えられるのは、人工関節の緩みと感染症です。緩みはあまり心配ありませんが、感染は何度でも繰り返す可能性があります。術後の感染症の発生割合は極めて低いのですが、術後半年~1年以上経ってから起こるものもあります。 このようなリスクは、定期的なフォローで防ぐことができます。人工関節は、術後1年くらいで最終的に固定され、動かすことができる膝の角度も定まってきます。退院後は、最初の1年間は1か月に一度、その後は半年から1年ごとに定期検診を受けて下さい。設置した人工関節に、摩耗・緩み・劣化・破損などのリスクがないか、様子を診ていきます。なお、痛みが急に強くなったり腫れが出たりしたときは、すぐに受診してください。
細井先生 膝が痛いだけで、やりたいことも我慢する生活を強いられるのだとしたら、それはもったいないと思いませんか?車椅子生活になれば家族にも負担がかかります。いつまでも自分の脚で歩くことができるように、日常生活に必要な動作ができる膝を作るのが人工膝関節置換術の目的です。変形性膝関節症の患者さんとは一生のお付き合いになりますから、何よりもお互いの信頼関係が必要ですね。
藤井先生 膝が痛いから楽しみだった旅行にも行けなくなった、動くのが億劫だと、我慢する人生を送るのなら思い切って手術しましょうと励ましています。ぜひ、納得のいくまで医師と相談してください。手術には不安もあるでしょうが、人工膝関節置換術は手順も決まっているスタンダードな手術ですから、心配はありません。他に内科的な病気を持っていなければ、ほとんどの人が手術の適応となります。
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