専門医インタビュー
術直後の痛みはブロック注射によりかなり抑えられていますが、必要に応じて痛み止めを使用します。人工肩関節置換術やリバース型人工肩関節置換術後は、4週間程度、装具や三角巾(さんかくきん)を装着していただきますが、肩関節の動きを改善し日常生活に復帰してもらうためには、リハビリがとても大切です。個人差はありますが、1週間後くらいから理学療法士の指導の下で徐々に肩を動かす訓練を行っていきます。腱板断裂手術の場合、はじめは自分では力を入れずに、理学療法士の方に肩を動かしてもらう訓練を行い、1か月くらいかけて徐々に自力で動かす訓練を行っていきます。退院後は、通院でのリハビリを行っていただきますが、病院に通いにくい場合は、ご自宅からのアクセスが良い施設でリハビリを行っていただく場合もあります。
リバース型人工肩関節置換術を受けることで、びっくりするほど腕を挙げられるわけではないのですが、平均すると130度くらいまで腕を挙げることができるので、これまで腕が挙がらず困っていた日常生活の改善は期待できると思います。ただし、後ろ方向に手をまわす内施という動きは制限されることが多いです。そのため、日常生活でできないことは、普段から周りの方に伝え、上手にサポートを受けながら日常生活を送っていただいたほうが良いと思います。
日常生活の中で軽い荷物の持ち下げや、ウォーキングなどの軽い運動であれば特に制限はありません。しかし、活動性などによって個人差はありますが、リバース型人工肩関節の耐用年数は10年~15年と言われています。人工肩関節をできるだけ長く使っていただくためには、重い荷物を無理に持ち上げない、動きの激しいスポーツは控える、肩を強く引っ張らないといったことに注意してください。また、時間が経つにつれて人工関節が緩んだりすることがあるので、退院しても定期的に受診いただき、ご自身の状態や人工関節の状態を確認することを忘れないようにしましょう。
肩の痛みに困っていれば、あまり我慢せずに、早い段階で医療機関を受診してご自身の状態を知ることが大切です。
多くの場合は、保存治療で症状の改善が望めます。また、手術に迷っている方は、不安に感じている事を医師に相談してみてください。手術だけでなく、色々な治療の選択肢から、それぞれのメリットやデメリットを比較し、ご自身が納得した上で治療を選択することが重要です。肩に痛みがあり、腕を挙げにくくなっていれば、諦めずに専門医にご相談ください。
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