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専門医インタビュー

股関節に痛みを感じたら、すぐに整形外科に相談しよう ~変形性股関節症とその治療法~

この記事の専門医

  • 堀田 拓 先生
  • 東京歯科大学市川総合病院 リハビリテーション科 部長・教授
  • 047-322-0151

千葉県

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専門:人工関節外科、小児整形外科、下肢の外傷(スポーツ外傷も含む)
資格:日本整形外科学会専門医

この記事の目次

術後の患者さんの様子はいかがですか?

術後約3日も経てば手術の痛みもほぼ取れますから、そのころから歩く練習をスタートしています。術後のリハビリはとても大切です。筋カトレーニング、立ち上がり練習などを行い、1週間後からは、歩行訓練が中心になります。患者さん同士で一緒に歩いて、だんだん歩く距離を伸ばしていきます。ほとんどの人は2週間もたてば自信を持って歩けるようになります。そのころになれば、今までとは違って、体重をかけたときに関節の痛みが出ないという人も多くなります。自力で歩くことができて、階段を昇り降りすることができるようになればもう大文夫でしよう。もともと股関節が硬い人が、手術で一気に軟らかくなることはありませんが、痛みがとれて股関節そのものも曲がりやすくなります。
入院期間は、当院では高齢者は多いため、術後のリハビリも含めて1か月程度入院する人がほとんどです。比較的若年の方や外来でリハビリができる施設ではもっと早く退院することも可能です。入院中にしっかり専門家の指導を受けて、退院後も自宅できちんとリハビリができるようにしています。

手術後の生活で注意することはありますか?

人工股関節がゆるむ可能性があるところ
(赤色部分)

手術の後、退院してからの生活で注意することは角度制限くらいです。「どんどん動いてください」と患者さんには話しています。股関節の曲がり方には、若干の制限があります。特に、深く曲げる和式トイレは苦手ですし、内側にひねるいわゆる女の子座りはお勧めできません。ジョギングや山登りなども、あまり勧めてはいません。新たにスポーツを始めたい人は、事前に医師に相談してからにしましょう。
また、現在の人工関節は精度が非常に良くなっているし、手術技術も向上していますが、人工関節の宿命として関節がゆるんでくることがあります。ゆるんでしまったら、もう一度入れ直す手術を受けなければなりません。関節のあたりに音がする、痛いなどの場合は要注意ですが、全く自覚症状はない場合もありますから、手術後どんなに安定していても、年に1度は医師にチェックしてもらうことをお勧めしています。術後は、必ず定期検診を受診していただくようお願いしています。

股関節の痛みで悩んでいる方へ、先生からアドバイスをお願いします。

人工股関節置換術を受けるかどうか迷っている人、手術は痛いのではないかと不安に思っている人には、「手術の痛みや怖さよりも、動けないほどの関節の痛みの方がずっと辛いですよ」と話しています。でも、手術が怖ければ無理には勧めません。また、レントゲンで診断した際、見た目がひどくても、それほど痛みがなければ手術は勧めていません。変形性股関節症の治療の最終的な方法は手術ですが、そのタイミングは人によって様々です。あくまでも、本人の幸さや痛みの様子次第で、本人が乗り気でないのにご家族が強く手術を勧めるような場合には、少し様子を見るようにしています。
なお、高齢者の場合でも、股関節の痛みが必ずしも変形性股関節症によるものとは限りません。股関節に痛みを感じたら、一人で悩んでいないで、先ずは近くの整形外科でレントゲンを撮って調べてもらいましょう。痛みは、身体が発する何らかのサインですから、あまり我慢しないほうがいいのです。整形外科医に相談するのに早すぎることはないし受診するのに遠慮は無用です。


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