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専門医インタビュー

膝や股関節の変形性関節症 この痛みは治らない、高齢だから仕方ないと諦めず整形外科にご相談ください

この記事の専門医

皆川 寛 先生

岡山県

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専門領域:整形外科全般、下肢人工関節
専門医:日本整形外科学会専門医

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この記事の目次

変形性関節症と診断されると、どのような治療が行われますか?

ジグリング

ジグリング

膝、股関節いずれの場合も変形性関節症と診断されると、まずは保存療法から始めるのが一般的です。具体的には、和式から洋式への生活変更など関節への負担軽減につながる生活指導、適正な体重管理のための運動や栄養指導、関節周囲の筋力強化やストレッチによる運動療法、膝への負担を軽減する装具療法があります。さらに、痛みに対しては、鎮痛薬などによる薬物療法で改善を目指します。それでも痛みが改善しない場合、ヒアルロン酸の関節内注射を行うことがあります。
また、股関節の痛みには、ジグリングや健康ゆすりと呼ばれる脚を小刻みに動かす運動が注目されています。これは、脚の動きによって関節液からの栄養が股関節内に行き渡るようになり、痛みの軽減につながるといわれています。さらに、どうしても痛い場合は、杖を使い股関節にかかる負荷を軽くされたほうがいいでしょう。

膝や股関節周りの筋力を鍛えると、痛みが軽減するのでしょうか?

水中ウォーキング

水中ウォーキング

大腿四頭筋訓練

大腿四頭筋訓練

膝の場合、太もも前側の大腿四頭筋を鍛えると痛みが改善するという報告があります。例えば、イスに座った状態で脚を真っ直ぐに伸ばした状態で脚を上げます。この時、つま先は立てておきましょう。その状態を5秒間くらい保ったら脚を下ろす、という運動は大腿四頭筋の強化に効果的です。一方、股関節の場合は、お尻の外側にある中殿筋を鍛えると良いといわれています。
プールでの水中ウォーキングはお勧めできる運動です。水中なら下肢の関節にかかる体重の負荷を軽減しながら、効果的な有酸素運動と筋トレが行えます。また、歩いたり、散歩したりすることもお勧めです。ただし、筋力をつけるためには、きれいな姿勢を維持しながら歩くようにしましょう。ポイントは3つあります。1つ目は、かかとから着地するように歩く。2つ目は、背筋をピンと伸ばしてご自分の背丈が一番高くなるようにして歩く。3つ目は、下を向かずしっかり前を向いて歩く。こうして歩いていると、自然と脚の動きが良くなり、手の動きも出てきて、全身運動になります。膝だけ、股関節だけと分けて考えるのではなく、下肢もふくめ全身の筋力を鍛えていくようにしましょう。

どのような状態になったら手術を受けたほうがいいのでしょうか?

基本的に保存療法で痛みが改善されているのであれば、手術を受ける必要はありません。しかし、残念なことに変形性関節症は進行していきますから、いずれ、どこかの時点で手術を受けないと歩けなくなり、生活が立ち行かなくなる怖れがあります。夜間、痛みで眠れない、安静にしていても痛みが続き、鎮痛剤を服用しても痛みが収まらず生活に支障が出ているようなら、手術を受けるタイミングが来ていると考えたほうがいいでしょう。あるいは、最初は、膝もしくは股関節だけが傷んでいたのに、長く我慢していたら、腰や足首、もう片膝というようにあちこちの関節が痛むようになってきた場合も手術の受け時だと思います。
また、いずれ手術を受けるなら早いほうが良い、と説明を受けた方がおられるかもしれません。筋力が落ちた状態でも手術を受けることはできますが、筋力がある方に比べると術後のリハビリに時間がかかりやすくなるからです。手術に抵抗がある方は多いと思いますが、今後、どのような生活スタイルを続けたいのか、ご自分の将来設計をよくお考えいただき、ご自身が納得される治療法を選択してほしいと思います。


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