専門医インタビュー
理学療法室の風景
術後は、翌日からリハビリを開始します。1日目はまだドレーンンが挿したままの状態なので、ベッド上で足首を動かしたり、脚の筋肉に力を入れたりするなどの訓練を行います。2日目の朝にドレーンを抜いた後は、痛みの具合をみながら筋力トレーニングをベースに、膝を曲げる動作や立位訓練などを行います。また、2日目から車イスでの移動が可能になり、自分でトイレに行けるよう指導もします。術後4日目くらいから、平行棒などを使用しての歩行訓練が始まり、その後はどんどん歩行距離を伸ばしていくというのが主な流れです。また、階段昇降や衣服の着替え、家事、入浴、交通機関の乗降などといった、患者さん個人の必要に合った日常生活動作の訓練も行いますので、入院期間は1カ月から1カ月半程度です。
軟骨の役割をする高分子量ポリエチン
術後、使用と共にすり減っていくため、定期検診で状態を確認することが重要です(最新のもの-左、古い摩耗したもの-右)
退院直後は杖を使った方が歩きやすいかもしれません。退院後の注意点としては、転倒しないこと、そして筋力トレーニングを続けることです。ウォーキングやスポーツは、筋力がしっかりつき、悪くない方の脚と同じぐらい動くようになってから始めてください。なお、人工関節の耐用年数は15〜20年といわれていますが、患者さんの体格や活動性などで個人差があります。 気づかないうちに緩みなどの問題を起こしていることもあるので、術後の経過観察だけでなく、 6ヵ月から1年に一度は定期検診(レントゲン検査)を受けることが大切です。
症状の程度に関わらず重要なのは筋力トレーニングで、初期の段階から行う変形性膝関節症の治療のベースになるものです。膝に負担をかけず、太ももを効果的に鍛える訓練がお勧めです。スポーツジムにわざわざ行く必要はありません。以下に、家庭でできる簡単なトレーニングを紹介します。
少しでも「膝の様子がおかしいな」と感じたら、とにかく早めの受診をお勧めします。痛みを感じた場合は決して我慢をせず、病院に来て痛みの原因を確かめることが重要です。一番良いのは、やはり痛みを感じる前の受診です。膝にこれまでとは違う違和感を覚えたら、まずは専門医を受診してみてください。早ければ早いほど治療の選択肢は広がりますし、保存療法だけで十分対応が可能な場合も多々あります。我慢し続ければどんどん軟骨がすり減り、歩行が困難になっていきます。歩くことが嫌で外出もままならなくなる前や、激しい痛みに苦しむ前に来ていただき
たいですね。
また、日頃から筋力トレーニングや関節の運動、ストレッチをすることがとても大切です。膝をしっかりと支え痛みを軽減するためには、膝関節の周囲の筋肉を鍛えることが必要です。症状の進行を遅らせたり、予防したりするためにも効果的なので、積極的に行ってみてください。なお、仮に手術が必要となったら、家族の理解・協力が不可欠です。また、手術のメリット、デメリットについても、納得がいくまで話を聞いて、主治医との信頼関係を築いた上で、手術を受けることが大切です。
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