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専門医インタビュー

足首の痛みは変形性足関節症の可能性も 放置せずに早めの受診を

埼玉県

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専門分野:足の外科(変形性足関節症、足関節鏡視下手術、スポーツ傷害、成人足部変形)
資格:日本整形外科学会認定専門医、認定スポーツ医、認定運動器リハビリテーション医、認定リウマチ医

この記事の目次

年齢が高くなるにつれて、足首の痛みに悩まされる方が増えています。痛みの原因として関節リウマチなどさまざまなものが考えられます。そのうち代表的な原因の一つが、足首の関節軟骨がすり減ることで、関節が変形していく変形性足関節症です。今回は、獨協医科大学埼玉医療センターの栃木祐樹先生を訪ね、受診のタイミングや重症化を避けるために普段気をつけること、主な保存療法、近年進歩してきた手術療法などについて、幅広くお話を伺いました。

足首の痛みの主な原因である変形性足関節症について教えてください

足首の構造

足首の構造

まず初めに足首の構造についてお話しすると、足首はすねの骨である脛骨(けいこつ)と、それと対になった細い骨である腓骨(ひこつ)、その下にある一辺が3cmほどの小さな骨である距骨(きょこつ)で構成されています。距骨は横から見ると丸い滑車のような形になっていて、表面を関節軟骨が覆っています。その滑車状の距骨を上部からコの字で挟むように脛骨と腓骨が組み合わさり、さらに周りを靭帯がつないでいます。
変形性足関節症(へんけいせいそくかんせつしょう)は、関節軟骨がすり減ってかみ合わせが悪くなることで不安定な状態になり、炎症をくり返しながら関節面の破壊と周辺の骨変形が進んでいく病気です。明らかなきっかけなしに加齢に伴って発症する一次性のものと、骨折や靭帯損傷といった過去の外傷など明らかな原因がある二次性のものがあります。欧米では外傷後の二次性が大半とされますが、日本人の場合は一次性が比較的多くなっています。
また、変形性足関節症の方は変形性膝関節症を併発しているケースが珍しくありません。日本人の場合は、膝の内側の軟骨がすり減ってO脚になる人が多く、それに伴って下腿が内側に傾くと足関節でも内側の負担が増していきます。その結果として変形性膝関節症の場合と同様に、変形性足関節症でも足首の内側に痛みを訴える人が大多数を占めています。

変形性足関節症ではどのような症状が見られますか?

変形性足関節症

変形性足関節症

歩行時や長時間歩行後の足首の腫れや痛みが主な症状です。関節を取り囲む「滑膜」の炎症が起きると重だるい痛みが出ますし、骨変形の進行とともに骨の一部が大きく張り出した骨棘(こつきょく)が、炎症を起こした滑膜を刺激することで歩行中に強い痛みが生じます。特に、階段を下るときのような体重を前にかける動作で痛みを感じる患者さんが多いです。
骨変形の進行とともに関節の動く範囲が制限されてくるのも変形性関節症の特徴です。ただし足関節の場合は、膝や股関節と比べると、「動かしづらさ」自体には比較的不自由さを感じにくい傾向にあります。例えば膝だと「立っているときは伸ばした状態で、座っているときは曲げた状態」といったふうに、姿勢によって必要な曲げ具合が大きく変化しますが、足関節の場合は立つ・座る・寝るといったどの姿勢でも足首が直角の状態にあれば不自由はあまり起こりません。そのため、変形性足関節症は加齢にともなって罹患率は上がるものの、もともと高齢で活動性が低ければ問題に気づきにくい病気でもあります。

整形外科を受診すべきタイミングはいつでしょうか?

足首に痛みがあり歩行に差し障るような場合、なるべく早めに整形外科を受診してほしいと思います。前述の通り、足首は多少動きにくくなっても活動性が高くなければ気づきにくいほか、軟骨のすり減りが進んでも膝や股関節の変形性関節症ほど強い痛みがなく、見過ごされやすい傾向にあります。捻挫しやすくなって、「捻って腫れや痛みが出るがしばらく経つと治まる」をくり返すうちに軟骨のすり減りが進んでくる場合もあります。患者さんによっては、最初に受診してレントゲンを撮った時点で、関節の隙間がほとんど見えなくなっている場合も少なくありません。
気づかないうちに重症化してしまうのを予防するため、整形外科で診断を受けて、「私は、足首が傷んできているので無理しないようにしよう」という自覚を持ってもらうことが大切です。長歩きの必要があるときにはサポーターを巻く、必要に応じて杖をつくなど、あらかじめ足首に大きな負担がかからないように工夫したり、痛みが出てきたらすぐ休めるようにしたりといった具合に、日常生活でのちょっとした配慮が進行を遅らせることにつながります。


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