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専門医インタビュー

足首の痛みは変形性足関節症の可能性も 放置せずに早めの受診を

この記事の専門医

埼玉県

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専門分野:足の外科(変形性足関節症、足関節鏡視下手術、スポーツ傷害、成人足部変形)
資格:日本整形外科学会認定専門医、認定スポーツ医、認定運動器リハビリテーション医、認定リウマチ医

この記事の目次

術後の回復・リハビリ-テーションについて教えてください

歩行器を使った歩行練習

術後2週間程度は、手術部位の炎症を早く落ち着かせて傷の治りを促すため、足首の外固定と荷重制限を行います。翌日からの院内移動には車いすを利用します。2~3日経って痛みが落ち着いてきたら、起立練習や歩行器を使った歩行練習に入りますが、これは反対の足や全身の筋力が落ちないようにするためのものであり、手術した足には体重をかけません。
術後2週間ほどで、手術創が落ち着いて抜糸を済ませたら、手術した足首にギプスを巻いて固定します。ギプス装着後は、手術した足への全荷重を許可し、退院後に自宅内での暮らしで困らないよう壁などを伝って歩く練習をします。個人差がありますが、3~4日間ほどで歩行が安定してきたらギプスを巻いたまま退院となります。
術後4週間ころの再診時にギプスを外し、装具などの着脱可能な外固定法に変更すると、入浴ができるようになります。術後8週間ころには装具も外し、通常の歩行を再開します。
その後も半年に一度は定期検診を受け、人工関節の緩みがないかなど継続的に確認していきます。人工関節の緩みは痛みや腫れを伴わずに進行してゆくため、定期的なチェックで異常を早期に発見し、必要に応じて適切な対応を行うことが人工関節を長持ちさせることにつながります。

退院後の暮らしで気をつけることはありますか?

階段には手すりを付ける

転倒には十分気をつけてください。転んで人工関節の周囲で骨折を起こすと、再手術が必要になることもあります。足元に不安がある方にお勧めしているのは、術後も普段から折りたたみの杖をバッグに入れて持ち歩くことです。長く歩いて疲れや痛みが出るようなときは、無理をせず杖をついて転倒予防に努めてください。ご自宅で今まで畳で寝起きしていた方であれば、椅子やベッドを使う洋式の生活に切り替える、階段には手すりを付けるなど住環境を整備することも大切です。
走る・ジャンプするなど、足への衝撃がかかる動作は避けるべきですが、ウォーキングには制限がなく、全身の健康のためにもよく歩いてほしいと思います。足首に負荷をかけずに全身運動ができる水泳などは推奨されるスポーツです。また、骨がもろくなると人工関節に緩みが生じやすくなるため、骨粗しょう症対策は欠かせません。骨粗しょう症の薬を処方されていればきちんと飲んだうえで、食生活に気を配る、日光に当たるなどご自身でできることに取り組みましょう。

足首の痛みに悩む方にメッセージお願いします

誰でもできれば手術は受けたくないもので、それは自然な気持ちだと思います。ただ、もし手術を迷う段階を迎えているのであれば、いったんそうした抵抗感は脇に置き、「足首の痛みのせいでいろいろな制約が生まれ、人生がつまらなくなっていないか」を一度真剣に見つめ直してみてください。
内科の先生からは「健康のためにたくさん歩くように」と言われながらも、足首が痛いから歩けないと訴える患者さんは多いものです。しかしそうなると最悪の場合、十分に歩けないから心臓や肺などの機能が衰える、自分でできることが減って認知機能が低下していく、といった二次的な健康への影響が出ることも考えられます。足首の痛みのためにそうした悪循環に陥ってしまうのは惜しいことです。専門医への相談のもと、ご自身に必要な治療にしっかりと向き合ってほしいと思います。


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