専門医インタビュー
群馬県
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手術後のリハビリは、一般的に手術の翌日から立ち上がる、歩く、曲げ伸ばし、といった訓練を行います。手術前に「先生に全てお任せします」とおっしゃる患者さんもおられますが、手術後はそういうわけにはいきません。手術は医師によって行われますが、リハビリは患者さんご自身が頑張って行う必要があります。手術前に痛いながらも色々なことができていた方は、比較的早い社会復帰が期待できます。しかし、痛みのために長期間歩けていなかった方は、筋力や可動域がかなり落ちてしまっていることが多いので、それを取り戻すために相応の期間が必要になることがあります。
手術を受けて股関節を人工のものに換えたからといって、すぐにその機能が良くなることはありません。手術後のリハビリにしっかり取り組めなければ、手術の効果を十分に発揮しづらくなります。治療効果を実感していただくには、医師と患者さんが、いわば二人三脚で取り組んでいく必要があるのです。
人工股関節置換術後に特に注意していただきたいのは、人工関節への細菌感染(感染症)です。手術中や直後は医療施設で十分に注意して予防しますが、日常生活に戻った後は患者さんご自身で気をつけていただく必要があります。むし歯や歯周病をそのままにしておくと、それらの細菌が血流に乗って人工関節に到達し感染症を起こすことがあります。重篤な場合は、人工関節を全て取り除き新たな人工関節に入れ替える必要があります。口腔内の細菌以外にも、尿路感染症や肺炎の原因菌によって感染症を引き起こすこともあります。「そのうち良くなるだろう」と安易な自己判断はせず、口腔ケアも含めて感染症対策をしていくことが大切です。
股関節が痛む原因は、たくさんあります。「これくらいの痛みなら、まだがまんできるから」といって、整形外科への受診を先延ばしにしてしまうのはよくありません。整形外科ではレントゲンやMRIによって股関節の状態を詳しく検査し、的確な診断を行います。
ご自身の股関節の状態を確認するためにも、痛みを感じていたら早めの受診をお勧めします。
変形性股関節症を含め、股関節の病気は必ずしも症状が股関節に出るとは限りません。股関節が悪いのに、太もものあたりに違和感があったり、腰や膝に痛みが出たりすることもあります。本人は痛みを感じていなくても、家族や友人から「歩き方がおかしい」と指摘されて、整形外科を受診した結果、股関節に原因があったというケースもあります。あまりにも長い期間、痛みをがまんし続けてしまうと、股関節と隣り合う膝関節や腰にも悪影響が及んでしまうことがあります。
股関節の問題だけで食い止めるためにも、早めに受診するようにしましょう。
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