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専門医インタビュー

~痛みのためにやりたいことを我慢する人生にはさようなら~ 人工関節は人生を明るくするための一つの手段です

この記事の専門医

久門 弘 先生

石川県

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専門領域:整形外科一般、人工股関節
資格:日本整形外科学会専門医、日本体育協会認定スポーツドクター

この記事の目次

術後の様子について教えてください。

手術は筋肉を傷つけないため、術後の回復はとても速く、手術直後から寝返りも打てるし、翌日には歩いてトイレに行くこともできます。後方の組織も傷めていませんから、人工関節挿入後の脱臼のリスクも少ないのです。手術の合併症で一番怖いのは、静脈血栓症(いわゆる、エコノミークラス症候群)です。血栓を作らないためにも、早期のリハビリで歩くことが大切になります。手術の翌日から歩行器で歩き、3日目から杖で歩く練習、4日目からは階段昇降の練習をして、1週間で試験的に外泊します。入院期間は基本的に2週間、両側同時に行った場合もほぼ同じです。40歳で両脚手術をした人は、10日で退院されました。術前の患者さんの状態にもよりますが、一般的には杖を使って500m歩くことができ階段の昇降ができるようになれば、外泊や退院を許可しています。身の回りのことが自分でできるようになる、というのが退院の目途になります。術後のリハビリでは、筋肉やその端々に痛みを感じますが、それは使っていなかった部分を使う時には必ず起こる痛みです。一般的には、通常の家庭内での生活で不都合を感じなくなるくらいまで筋肉がつくには、2カ月ほどかかり、半年ほどで旅行に出かけられる程度までステップアップします。その間は、無理な動きはしないように注意してください。

退院後の注意点についても教えてください。

久門 弘 先生

大事なのが、術後の定期健診です。半年から1年に1度、きちんと受診してください。人工関節が摩耗による寿命で緩みを生じてこないか、定期的なチェックが必要になります。人工関節が完全に緩んでしまってからだと入れ替え手術が大がかりになりますが、早めに異常が見つかれば一部分だけを取り換えることもできます。手術後の変化を見逃さないためにも、定期健診が重要になります。なお、術前に痛みが強くて動けなかった患者さんは、脚の筋肉を長い間使っていなかったため、多くの筋肉はやせて筋力は落ちています。筋力の回復には時間が必要ですので、歩く姿のバランスが良くなるまでは無理をしないようにと話しています。人工関節が骨と十分にくっつくには時間が必要で、また筋力が十分につくまでは脱臼の危険性もあるため、術後半年間は、スポーツや容易にしゃがみ込む動作はしないようにして下さい。

股関節の不具合を抱えている人へのアドバイスをお願いします。

久門 弘 先生

その方の症状の程度や生活環境によっても、手術が必要かどうかは変わってきます。まずは診察を受けて、医師と十分に相談しながら、どんな対応策があるかを決めていきましょう。一人で悩んでいないで、とにかく整形外科に来て下さい。実際に人工関節置換術を受けている人の多くは、50代から60代の人でしょうか。悩みに悩んだ上で相談に来る方が多いのですが、バランスが悪い歩き方、脚をひきずった歩き方が目立つようになってくると周りの人からもいわれるようになり、受診する方もいます。思い切って人工股関節置換術を受けた人のほぼ全員が、もっと早く手術を受ければ良かったとおっしゃっています。人工関節は最後の手段とはいえ、その方法があるのですから恐れずに相談してください。


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