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専門医インタビュー

手術とリハビリが一体化した治療でこそ変形性膝関節症は完治します

この記事の専門医

山梨県

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東京医科大学大学院修了。米国ロックフェラー大学留学。帰国後、東京医科大学整形外科助手を経て、貢川整形外科病院に勤務。2007年同院院長に就任。専門は脊椎脊髄疾患。高齢社会の中で、頸椎から腰、関節など、患者さんの全身をトータルで診ることができる医師を養成中。

この記事の目次

手術には合併症があると聞きました。

定期検診は必ず行くようお願いします

心配な合併症としては、「肺塞栓症(エコノミークラス症候群)」があげられるでしょう。膝が腫れてしまうと、その下の静脈から血液が心臓に向かって戻ることができなくなり、血の塊ができることがあります。これを血栓症といい、この血栓が剥がれ肺に流れていって詰まってしまうのが肺塞栓症です。肺塞栓症を防ぐためには、手術後に血液の固まりを防ぐ薬剤を注射していますが、静脈瘤がある人や体重オーバーの人はかかるリスクが高いため、特に注意して手術を行っています。膝から下の脚の部分に異常な腫れがでてきたら、急いで受診してください。また、「感染症」にも注意が必要です。感染症は手術直後に起こるとは限りません。数年経った後、体力が弱ってきたときに体の中に持っていた細菌が人工関節に付着して感染を引き起こす場合があります。傷口が赤くなったり強い痛みが出たら、要注意です。このような合併症を未然に防ぐためにも、定期検診は怠らずに必ず行くようお願いしています。ペースとしては、最初の1年は3カ月に1回、その後は半年に1回受診してもらい、レントゲンを撮り、腫れていないか・痛みが出ていないかなどを確認します。人工関節はあくまでも人工物ですので、長期に渡って使用していくためにはメンテナンスが欠かせないのです。

退院後の注意点としては何かありますか?

手術をすれば痛みがなくなり、スムーズに動けるようになります。退院後、一番注意したいのが「転ばないように」ということです。転倒は骨折の原因になることからも、リハビリでは床からの立ち上がり方といった、転倒予防に力を入れて指導しています。また、やろうと思えばできてしまいますが、人工関節の破損に繋がる恐れがあることから、「正座はしないように」と伝えています。その他、人工関節を長持ちさせるためにも、膝が痛くなるような過激な動きは避けましょう。基本的には洋式の生活をお勧めします。また、装具は医師の指示があるまで着用してください。

手術後の日常生活における注意事項

当院では、退院時に日常生活で注意することを記したパンフレットをお渡しし、自宅でできる体操なども患者さんに応じて作成し、継続して行うよう指導しています。必要な人には、通院でのリハビリを勧める場合もあります。日常生活の中にウオーキングなどを取り入れるのもいいですね。どんなにいい手術をしても、そのまま寝ているだけでは膝は確実にダメになります。しかし、素人判断で無理に動きすぎても逆効果になります。人工関節は、その後の使い方が重要といえるでしょう。

膝の痛みを抱えている人へのメッセージをお願いします。

膝が痛くて動きづらいと感じたら、まず整形外科でレントゲン検査や血液検査を受けて、痛みの原因を正確に調べてもらいましょう。あまり長い期間、痛みや不具合を我慢するのはよくありません。現状を見極めた上で、適切な対応や治療が必要です。変形性膝関節症と診断されても初期の段階であれば、体重コントロールや筋力トレーニングを継続しながら、症状の悪化を防ぎ暮らしていくこともできます。そして、もし症状が進行してしまったら、心臓や肺が老化しないうちに人工関節にした方がいいと勧めています。人工膝関節置換術は、決して危険な手術ではありません。日本で年間約8万件以上も実施されているよく行われている手術の一つですから、現在は麻酔技術も進歩していますので、安心してください。いずれにしても信頼できる整形外科医と十分に相談をして、痛みを取り除いてもらいましょう。


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