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専門医インタビュー

いくつになっても、自分の脚で歩きたい! 生活の質を高めるための人工膝関節置換術

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愛知県

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【経歴】藤田保健衛生大学医学部卒業、藤田保健衛生大学病院整形外科客員講師 【認定資格】整形外科学会 整形外科専門医、リウマチ医、スポーツ医 【所属学会】日本医師会認定産業医

この記事の目次

入院期間やリハビリの流れについて教えてください。

リハビリは手術の翌日から行います。まずは歩行子訓練から始めるのですが、手術直後はまだ麻酔が効いていて痛みもあまりないため、松葉杖や車イスは使用せず、歩行器を使って歩く練習を行います。その後、100度以上まで膝が曲がるように、理学療法士のもとでリハビリしていきます。脚を曲げるときに痛みが出る人もいますので、リハビリは理学療法士が手術した部位の間節をマッサージして柔らかくしてから、可動域を広げるように行っていきます。最終的には、110度から120度ぐらいまで曲がるようにもっていき、2週後には抜糸して退院となります。早い人ですと10日くらいで退院します。男性の場合、「入院していてもやることないから帰ります」と退院される人も珍しくないですよ。女性は心配だからと2週間入院される人が多いですね。

退院時には、ほとんどの人は杖なしで自分の脚で歩いて帰ります。杖をついていたとしても、皆さん一本杖ですね。退院後の日常生活で、特に困ったということはないようです。なお、術前から筋力が弱っていた人の中には、膝の曲がり具合の悪い人がたまにいます。回復度合があまり良くない場合、退院後3カ月間くらいは週に2回のリハビリ通院をお願いしています。家でもリハビリが続けられるよう病院でやり方を指導して、それが実際にできているかどうかを通院時に確認します。リハビリ通院が必要ない人は、3ヶ月後に術後の様子を見せに来てくれれば大丈夫です。その後は、年に1度か2度のペースで定期的に来院していただき、レントゲンなどの検査で異常が出ていないかどうかを確認します。

退院後の生活で気を付けるべきことはありますか?

転倒時に人工関節の上下の部分で、骨が
ボキッと折れてしまうことがあります

日常生活レベルで活動するのであれば、特に注意することなどはありません。ですが、重労働をする・重いものを持ってしゃがむなどの行為は、人工関節の摩耗を早め緩みの原因になりますので、できれば避けてください。あと、退院後の体重コントロールにも気をつけてください。体重の増加や体の動かし方によって人工関節に負荷がかかりすぎる場合、10〜15年で入れ替え手術が必要になることがあります。気をつけていただきたいのは、転倒です。人工関節は金属でできており骨より固いため、転倒時に人工関節の上下の部分で、骨がボキッと折れてしまうことがあります。せっかく手術をして膝が正常な状態に戻っても、転倒して骨折したために歩けなくなってしまうのは非常に残念です。転倒には、くれぐれも注意していただきたいですね。その他、可能な限り生活様式を和式から洋式に変えることお願いしています。例えば、布団をベッドにする・和式のトイレをやめて洋式トイレにする、などです。炬燵も膝には良くないですね。立ち上がるときに、どうしても膝を曲げる必要があるため、転ぶ原因になります。高齢になったら、床に座る生活はできるだけ避けた方がよいでしょう。

膝の痛みで悩んでいる人に向けて、先生から一言お願いします。

まずは体重コントロールをしっかりして、それでも痛みが出るようであれば、膝関節の専門医を受診して欲しいですね。できるだけ早く診断を受けて適切な治療を行うのが、痛みを解消する近道だと思います。病院に行くべきか悩んでいるようでしたら、取りあえず病院に行ってください。専門医を受診すれば、治療法だけではなく症状が悪化しないための予防法についてもアドハイスを貰えますので、今後の生活の質を上げるためにも役立つでしょう。なお、手術を受ける病院を選ぶ際、手術件数が年間でどのくらいあるかというのが、一つの目安になると思います。どこの病院もホームページがありますので、そこで手術件数を事前に確認するとよいでしょう。件数の目安としては、年間50件くらい手術をやっていれば多い方ではないでしょうか。余計なリスクを回避するためにも、施設の下調べは事前にしっかりと行っておくことを推奨します。


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