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専門医インタビュー

膝が痛んだら、まずは体重管理と運動習慣 症状が進んだらタイミングを逃さず人工膝関節置換術を

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神奈川県

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昭和大学医学部卒業。日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会リウマチ認定医、日本整形外科学会認定スポーツ医

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昭和大学医学部卒業。日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定リウマチ医、日本整形外科学会認定スポーツ医、日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医、日本リウマチ学会リウマチ専門医

この記事の目次

手術後の流れについて教えてください。

リハビリの様子

硬膜外麻酔の管が抜けるまで、術後2日間はベッドの上にいます。トイレなどへの移動は車イスで行います。その後は自分で歩いてリハビリ室に通い、本格的にリハビリを始めます。プログラムは、膝の曲げ伸ばし訓練から始めて平行棒を使っての歩行練習など術前のリハビリチェックに基づいて行われ、内容は一人ひとり異なっています。杖を使って外を歩くことができ、階段昇降も不安なくできるようになったら、一度、試験外泊をしてもらいます。やはり、リハビリルームと自宅とでは環境が異なりますので、試験的に外泊してもらい様子を確かめて自信をつけてもらった上で退院となります。退院後も筋力が落ちないように大腿四頭筋を鍛える運動は継続してください。「イスに腰かけた状態で膝を伸ばして片脚ずつ持ち上げ3秒~5秒間そのまま停止するといったトレーニングや、膝の曲げ伸ばしの練習を継続しましょう」と患者さんには伝えています。

退院後、患者さんが注意することはありますか?

人工膝関節置換術で怖いのが感染症です。感染症は手術直後にかかることもありますが、術後長い年月が経ってからも体内の虫歯や歯槽膿漏などの細菌が血流で運ばれ、人工関節に付着することもあります。虫歯などの疾患は早めに治療するようお願いします。また、人工関節は体にとっては異物ですから、細菌が繁殖しやすい環境下にあります。お年寄りの中には入浴するのが面倒になってくる人もいるようですが、身体は清潔にしましょうと注意しています。特に冬場は肌の乾燥を防ぐ保湿にもできる限り気を配ってください。

膝が熱をもっていたら、まずは整形外科を受診しましょう

皮膚は外からの細菌の侵入を防ぐ大事なバリアです。しかし、高齢になると乾燥肌にもなりやすく、皮膚に粉を吹いたような状態になることがあります。乾燥した皮膚を掻きむしって引っかいた傷がかさぶたになり、そこから細菌が体内に入り感染することもあります。高齢者のスキンケアの指導が重要だと実感しています。もし、膝が熱をもっていたり違和感を覚えたりしたら、まずは整形外科を早く受診してください。人工関節の周囲に炎症を起こし悪化すると、人工関節を取り出して炎症を治療した後、再度人工関節を入れ直す手術(再置換術)が必要になる場合もあります。このようなリスクをできる限り回避するためにも、退院後1か月、3カ月、半年ごと、以後は半年ごとと決められた定期検診を、きちんと受けることが大事です。

生活動作やスポーツなどで、気をつけることはありますか?

ウォーキングのイメージカット

退院後は家に引きこもらず、どんどん外に出てください

正座は基本的に勧められません。激しいコンタクトスポーツも禁止ですが、高齢の人はまずやらないでしょう。大体のスポーツは許可しています。テニス(ダブルス)もスキーも試合になるとつい無理をしてしまいますが、趣味や楽しみでやる程度であれば大丈夫です。ごく普通の生活動作については特に制限を設けていません。むしろ家の中に引きこもっていないで、どんどん外に出て活動的に生活することを勧めています。痛みがなくなり膝も伸びてすっきりきれいに歩く姿をご近所の人に驚かれたという患者さんはたくさんいます。退院後半年も経てば、多くの人は手術したことすら忘れてしまうくらいスムーズに動けるようになりますので、無茶しすぎない程度に関節を使うようにしてください。

膝の痛みで悩んでいる患者さんにメッセージをお願いします。

奥茂先生 膝の痛みを軽く考えて我慢をするのではなく、できる限り早めに整形外科を受診してください。今悩んでいる膝の痛みの原因は何か、正しく把握することが先決です。もし、変形性膝関節症と診断されても、必ずしも手術を受けなくてはいけないわけではありません。関節の変形がそれほど進んでいない状態であれば、運動習慣を身につけるだけで痛みが軽くなることもあります。まずは運動習慣を継続し、膝にかかる負担を減らすことから実行していきましょう。保存療法でも痛みをコントロールしている患者さんは沢山いますので、絶対に諦めないでください。

山下先生 膝も腰も、整形外科の疾患は運動器の障害を引き起こします。特に下肢部の関節は、日頃から自分で意識して使っていないと、その内に生活動作に問題が出はじめ、要支援・要介護になるリスクが高まってしまいます。50代くらいからは体重を適切にコントロールし定期的に運動を行うなど、自分の体をメンテナンスしていくことを心掛けてください。また、「変形性膝関節症」と診断されても、決して治療を医者任せにしないでください。通院して注射して薬を飲んでいるだけでは症状は改善されません。体を動かさない限り、筋力は弱り全身の運動機能が落ちてしまいます。保存療法を続けても痛みが続くようであれば、人工膝関節置換術も有効な選択肢の一つです。手術のタイミングを逃さないように、専門の医師とじっくり相談をしましょう。


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