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専門医インタビュー

自分の脚で歩いて人生をもっと楽しもう! 3次元立体モデルによる、より安全で確実な人工膝関節置換術

この記事の専門医

富山県

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専門領域:整形外科一般・膝関節の外科・人工関節・関節リウマチ
資格:日本整形外科学会認定整形外科専門医、日本リウマチ学会認定リウマチ専門医・指導医

この記事の目次

人工膝関節置換術とはどんな手術ですか?

人工膝関節置換術とは、膝関節の傷んだ部分を取り除き、人工の関節に置き換える手術です。回復が早く除痛効果に優れ、術後の長期成績も良好な安定した手術だといえます。しかし、どんなに評価が高く成績の良い手術でも、患者さんにとってはやはり不安なものです。このような患者さんの不安を少しでも取り払うためにも、手術1ヵ月前に全身状態をチェックするために内科を受診していただく際に、リハビリテーション科も合わせて受診してもらっています。リハビリ室では術後の患者さんもリハビリをしていますから、手術経験者の話を直接聞くことができます。傷口も見せてもらえますし、術後1週間の人、2週間の人、退院直前の人と、だんだん状態が良くなっている姿を目の当たりにできるため、随分と不安が解消されるようです。また、「手術直後は少し腫れて辛かったけど、1週間もすれば随分楽になりますよ」といった経験者の生の声を聞いておくことで、実際に手術を受けた後も精神的に安心していられるようです。リハビリ受診時には理学療法士が患者さん一人ひとりの動きをチェックし、その人に合った術前リハビリを指導します。患者さんにはそのプログラムに沿って入院日まで自宅でリハビリを行っていただきますが、術前リハビリを行っておくと術後の回復が格段に早いですね。

事前の手術計画がとても重要だと聞きました。

長期間に渡って良好な状態を保つためには、患者さん一人ひとりにあったサイズの人工関節を選択することと、正確な人工関節の設置が欠かせません。当院では、術前にCT撮影で患者さん一人ひとりの骨の形や状態を確認し、そのデータをコンピュータに入れて3次元的な立体モデル(3次元テンプレート)を作成することで、このモデルをもとに術前計画を立て手術のシミュレーションを行います。立体モデルを使用すると、コンピュータ上で360度、様々な角度から細部にわたって評価できるため、人工関節の患者さんにあった種類やサイズの選択、設置位置や設置角度などの決定に非常に役立ちます。また、関節の変形が強く難易度の高い手術の場合でも極力正確な手術を行うために、先進医療の「実物大臓器立体モデルによる手術支援」を導入しています。これは、CTデータをもとに患者さん個別に実物大の膝関節模型を作製しPCの画面上だけではなくこの模型をもとに手術前後の状態をきちんと確かめておくことで、手術時に骨を削る際の参考として活用しています。

実物大の模型。骨を削る際の補助とすることでより安全で正確な手術が可能になります

手術は模型を確認しながら行うため、骨を削りすぎるリスクも少なく、低侵襲かつ安全性の高い正確な手術が可能となっています。なお先進医療の場合、保険医療ではカバーされない部分については自己負担となります。生命保険のオプションで先進医療特約に加入している場合などでは、保険会社から自己負担金部分が支払われますので、詳細は担当の医師にご相談ください。

両膝同時に人工膝関節置換術を行う場合もあるのですか?

両側同時手術後のX線両脚とも真っ直ぐになっています

患者さんの希望があれば、両側同時手術を行う場合もあります。最初は「片側だけで」と希望された患者さんが、手術を受けるとすぐに「もう片側もお願いします」とおっしゃるケースも多くあります。ただし、無理にお勧めするということはありません。リハビリや入院期間は両側でも片側でもあまり変わりませんが、手術時間は倍になります。手術時間は片側手術で約90分ですから、両側手術では約3時間かかります。また、片側だけだと出血は200cc程度のため輸血はほとんど必要ありませんが、両側の場合は出血量も倍になるため、輸血の可能性を考えて事前に自己血を貯めておく必要も出てきます。確かに、手術が1回で済み、脚の長さを揃えられるため歩行も安定するというメリットは大きいのですが、患者さんの負担面を考慮した上で「まずは片側だけでどうですか?」とアドバイスする場合もあります。なお、症状が3期~4期の間くらいまでの人であれば、より痛い方の膝を手術することで、もう片方の膝の症状が改善することも少なくありません。両側同時手術の適応は患者さんの容態や症状によって変わってきますので、希望される場合には、ご自身の適応や効果、リスクについて事前に医師とよく話し合ってください。


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