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専門医インタビュー

自分の脚で歩いて人生をもっと楽しもう! 3次元立体モデルによる、より安全で確実な人工膝関節置換術

この記事の専門医

富山県

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専門領域:整形外科一般・膝関節の外科・人工関節・関節リウマチ
資格:日本整形外科学会認定整形外科専門医、日本リウマチ学会認定リウマチ専門医・指導医

この記事の目次

術後のリハビリから退院までの流れを教えてください。

リハビリテーション室

手術翌日から杖をついての起立歩行訓練を開始し、5日目くらいからは階段昇降訓練を始めます。術後1週間~10日の間に試験的に帰宅外泊をしていただき、玄関やトイレ、風呂場、寝室などを不自由なく使えるかどうかをチェックします。その後は病院に戻ってもらい、不自由な状況があった場合はその動きを集中的に訓練します。試験外泊後のリハビリでは、質も量もかなりアップしますね。入院期間は平均で3週間弱ですが、ほとんどの人が退院時には1.5km~2kmは自分の脚でしっかりと歩けるようになっています。杖は基本的にいらないのですが、転倒予防のために一応持っていただくように指導しています。人工膝関節置換術を受ける人の年齢は70代が中心ですが、最近は80代も多く、中には90代の人もおられます。「もう一度自分の脚で歩いて人生を楽しみたい」と思って手術を受けられる人は、意欲も強くリハビリにも前向きに取り組まれるので、回復も早いように感じます。「畑仕事に復帰した」、「海外旅行を楽しんでいる」といった喜びの声もたくさん寄せられていますよ。

人工関節を長持ちさせるポイントは何ですか?

定期検診は、術後3週間、3ヵ月、半年、
1年のペースでお願いしています

まず人工膝関節の耐用年数ですが、現在の術後成績を見ると、まず20年は大丈夫でしょう。25年成績もかなりいいです。体重コントロールができていて活動量がそれ程多くない人であれば、30年持つ可能性もあると思います。術前リハビリで筋肉を鍛えている場合には、術後の可動域が130度以上という人が多く、正座ができる人も少なくありません。しかし正座については、「できてもしないでください」とお願いしています。正座をすると人工関節に強い捻れとストレスが加わるため、軟骨の役目を果たすポリエチレン製のプレートがすり減ったり割れたりする危険性が高まります。また、術後の経過が非常に良好で退院直後から過剰に運動をしてしまう人もいますが、これも要注意です。スポーツは、カートを使ったゴルフくらいは大丈夫ですが、ジョギングなど膝への衝撃が大きいものは避けましょう。一方で、水泳や水中ウォーキングは膝に負担をかけずに全身の筋肉を鍛えることができ、姿勢も良くなるのでお勧めです。農作業や畑仕事は、退院後半年過ぎれば行っても問題ないでしょう。定期検診は、術後3週間、3ヵ月、半年、1年のペースでお願いしています。翌年以降はどんなに調子が良くても1年に1回は受診して、人工関節の状態をチェックしてもらってください。それが人工関節を長持ちさせるための大きなポイントです。

膝の痛みや変形に悩んでいる人へ、アドバイスをお願いします。

膝の痛みを訴える人の中には、腰の神経痛など、他の部位が原因で痛みが出ているケースも少なくありません。まずは膝の専門医のいる医療機関を受診し、不具合の原因をしっかりと突き止めてもらいましょう。そこで変形性膝関節症と診断されても、命にかかわる疾患ではありませんし、必ずしも手術が必要になるわけでもありません。人工膝関節置換術はあくまでも治療の「最後の手段」ですから、まずは保存療法の中から色々な治療法を試してみましょう。その過程で仮に手術が第一選択肢になったとしても、レントゲン所見や症状だけでなく、患者さん一人ひとりの家庭環境や社会的背景、考え方などをしっかりと理解した上で手術計画を立ててくれるような医療機関で手術を受けることをお勧めします。初診時に「では、手術しましょう」というような施設は、あまりお勧めできませんね。人工膝関節置換術は、退院後の定期検診も含めると、担当の医師とは文字通り一生の付き合いになります。テレビや雑誌に登場するスーパードクターも結構ですが、地元で10年、20年の実績があり、患者さんから信頼を得ている医師や医療機関であれば、万一、不具合が生じた場合でも、より安心して任せられるではないでしょうか。


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