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専門医インタビュー

寺山 弘志 先生|痛みは我慢しないで! 専門医に相談を 原因さえ判明すれば治療法はいくつもある|人工関節ドットコム

この記事の専門医

広島県

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1993年に広島大学医学部卒業。中電病院、松山赤十字病院、サカ緑井病院を経て現職。日本整形外科学会専門医。所属学会、日本股関節学会、日本人工関節学会、西中国外傷研究会(幹事)

この記事の目次

人工股関節とはどういうものですか?

人工股関節置換術後のレントゲン

骨盤側と大腿骨側の損傷部分を取り除き、すべてを人工のものに取り換える手術を人工股関節置換術といいます。人工関節は、大腿骨の中に金属製の「ステム」と呼ばれるものを埋め込み、骨盤側に受け皿となる「カップ」とその中に高分子ポリエチレン製の「ライナー」を組み込むことによりスムーズな関節の動きを得られます。

手術の前にはどういう準備がありますか?

人工股関節置換術を行うことが決まったら、患者さんが手術に耐えられるかなど、様々な検査を行います。高血圧などの持病があっても、きちんとコントロールできている状態であれば手術を行うことがあります。万一、手術後に様態が急変する恐れがあるような患者さんの場合には、集中治療室などの設備が整っている大きな病院に紹介します。
手術の前には、患者さん自身の血液(1回につき200㏄又は400cc)を2~4回にわけて約800㏄ほど貯めておきます。もし手術中に出血が多くなった場合に自分の血液を輸血する、そのための貯血です。また術中にも手術で出た血液を回収して体に戻すための装置を使用しています。

レントゲン写真をトレースして
設計図を作成します。

術前にはCTを撮り、骨の大きさや関節の位置などを確認し患者さんそれぞれに合うと思われる人工股関節を選びます。最近は、患者さんのデータをコンピューターに取り込み、3Dソフトを使って立体的に術前計画を練っています。さらにレントゲン写真をトレースして作成する設計図とともに、手術のシミュレーションを十分に行い手術を行っております。患者さんには体調を壊さないように手術に臨んでもらいます。

組織や筋肉のダメージを少なくする低侵襲手術とはどんな手術ですか?

手術では、人工股関節を患者さんそれぞれの体にぴったりと合うようにきれいに安定して入れることが大切です。以前は、それを最優先して、組織や筋肉なども大きく切っていましたので皮膚も25㎝くらいは切り開くのが普通でした。最近では、皮膚の傷口を小さくするだけでなく、股関節に前方や前側方からアプローチして股関節周辺の筋肉をほとんど切らない方法も増えて来ています。この方法は、筋肉を切らず筋肉の隙間から股関節へ侵入するため、人工関節が脱臼するリスクを大幅に軽減することが期待出来ます。侵襲が少ないため痛みも緩和され、術後早期からリハビリを行えるので長期入院をしないで済むのも利点です。手術にかかる時間は、1時間半~2時間くらい。麻酔などに要する時間も加えれば3時間くらい手術室に居ていただくことなります。


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