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専門医インタビュー

寺山 弘志 先生|痛みは我慢しないで! 専門医に相談を 原因さえ判明すれば治療法はいくつもある|人工関節ドットコム

この記事の専門医

広島県

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1993年に広島大学医学部卒業。中電病院、松山赤十字病院、サカ緑井病院を経て現職。日本整形外科学会専門医。所属学会、日本股関節学会、日本人工関節学会、西中国外傷研究会(幹事)

この記事の目次

手術直後から動くほうがいいそうですね

安全のために車いすを使う場合もありますが、手術後は出来るだけ早めに筋肉を動かしたほうが良いと思います。ほとんどの患者さんは術後1日目から歩行訓練を開始し、手術翌日には、自力でトイレに行く方もいらっしゃいます。多くの人は、傷の痛みはあっても、関節そのものの痛みが取れて動きやすさを実感されています。リハビリ室で平行棒を使って立ったり、歩く訓練を行いますが、たいていの人が1週間も経てば短いつえ1本で院内を歩いています。
手術後のリハビリをスムーズに行うために、実は手術の前からリハビリ室に通って、訓練の仕方を丁寧に説明し覚えてもらっています。退院後に家でもできるような筋力強化、可動域を回復させる運動など、その人に合わせたプログラムを指導しています。
通常、入院は2~3週間で、家の中で伝い歩きや階段の昇降ができる、家の周りを歩けるようになるためのリハビリプログラムを行ってから退院になります。低侵襲手術のおかげで、日常生活に困らない程度まで回復するスピードが、だいぶ速くなったと思います。

手術後に気を付けなくてはいけないのは?

ジョギングする老夫婦

以前は脱臼を防ぐために、正座はダメ、横をむいて寝てはいけないなどの注意が必要でした。しかし、今の手術手技に替えてからは脱臼の心配はほとんどなく日常生活で注意する点もあまりないのですが、ただ「転ばないで下さい」とだけ、何度も繰り返してお話しています。退院後は2週間後に再受診、その後半年間は月に1回、そして1年に1回、手術した月に受診してもらいます。みなさん半年くらいでリハビリからも解放され、ごくごく普通の生活を送っています。毎日散歩をしている人もいますし、ゴルフを楽しまれている方もいらっしゃいます。患者さん個々の状況にも左右されますので、主治医に相談し存分に楽しんでください。

人工股関節の一例

ただ、使えば使うほど人工股関節は摩耗します。現在の人工股関節は、20年から25年はもつといわれていますが、あまり激しい運動をすれば当然減るのが速いかもしれません。若くして人工股関節にした場合は、再手術を行うことがあるかもしれませんが、だいたい60代後半から70歳代で入れたなら、一生モノと考えることができるでしょう。
もう一つ注意したいのが感染です。ときに、虫歯や歯周病、水虫など患者さん自身が体の中に持っている菌が人工関節の部分に飛んで、炎症を起こすことがあります。股関節が腫れた、熱が出た、持続して痛くなったという場合にはすぐに受診すること。決して先延ばしにしないようにして下さい。状態が悪い場合は人工股関節を入れ直さなくてはならなくなるのです。

患者さんへのメッセージをお願いします

股関節が痛くても、歩き方が少しヘンになるくらいで、食欲がなかったり、顔色が悪くなったりするわけではないので、周りの人にはなかなか理解してもらえないかもしれません。人知れず苦しんでいる人もたくさんいます。そういう人が思い切って手術をしてから真っ先に感じるのが、痛みがなくなったということ。こんなことならもっと早く手術すればよかったという、喜びの声をたくさん聞いています。
「いつ手術するのがベストですか」とよく聞かれますが、痛みがつらくて、いずれ手術をしなくてはならない人なら、「あまり先延ばししないで、痛くて苦しむ期間を長くしないほうがいい」と話しています。骨や筋肉の状態が悪くなる前に手術したほうがいいかもしれません。とはいっても、なるべく切りたくないという人もいるのは事実です。手術をしようと決めたときが、その人にとっては良いタイミングだと考えます。その時、その時に楽にしてあげるのが私たち医師の仕事だと思っています。でも、痛みは我慢しないで! 痛みは取ることができるのですから。


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